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「こーちゃん!」
「ん?どした?」
「逮捕しちゃうぞ☆」

あきらの言葉とともに、ガチャンと右手に手錠が嵌められた。
…は?何これ?意味が分からな過ぎるんだけど?あきらの行動はいつだって突拍子もないけど、今回のはさすがにかるく流せない。思考が停止している間にガチャンと左手にまで手錠嵌められてるし…。

「…あきら君、これは一体何の冗談?何なの?これ」
「やっと捕まえた!完璧っ」
「うん、とりあえず人の話聞こうか」
「もー、何?なんか文句あるの?」
「そりゃ文句の一つや二ついいたくなるよね」

っつーか、こんなもんどこで手に入れたんだか。大体、逮捕とか言ってたけど俺は何も悪いことしてないし。まぁ、言いたいことはたくさんあるけど、一先ず何でこんな物を持ってるのか聞いてみたら、とんでもない答えが返ってきた。

「今はつーはんで何でも買えるんだよー。あ、お金はしっかりこーちゃんの口座から引き落としといたから!」
「は?俺の口座?あきらが俺の口座番号知ってるわけないだろ?」
「そこらへんは大丈夫!この間こーちゃんちに遊び行ったとき通帳探して口座番号ひかえといたから!」
「ねぇ、ほんとに何やってんの!?それ犯罪だからね!?」
「やだなぁ、こーちゃんのお金は僕のお金でしょ?」
「何、その聞いたことあるようなセリフ。ってか、逮捕されるの俺じゃなくて、間違いなくあきら君だよね?」
「…さてと、これから署まで連行しまーす」

俺の服の裾を引っ張って歩き出すあきら。どうやら外に出る様子。
…って、ちょっと待て!周りの目がまずいって!!このままじゃ、二人とも本物の警察に捕まるって!つか、署ってどこだよ!!そんな俺の文句もうるさいなぁの一言で流される。あー、なんか涙出そう。

「ほら、ちゃんと歩いてよ。安心して、署っていうのは僕の家だから」
「だったら普通に連れてってくれない?」
「だーめ。こーちゃんは窃盗罪で逮捕しなきゃいけないんだから!」
「いや、何も盗んでないんだけど…」

窃盗とか絶対してない。あきらが何のことを言ってるのか分からず呆れる俺を振り返り、あきらは一言だけ言った。

「盗んだよ!僕のコ・コ・ロ」

笑顔でそう言ったあきらは、俺を連れて玄関を出た。
そんなとき呑気に、あぁ、だったらあきらも逮捕しなくちゃなぁ、なんて思った俺は、警察より病院に行った方がいいのかもしれない。




(あきら、さっきの言葉はないよ)(さ、早く署まで行って取り調べしよっか)(…だから話聞けって)

- END - 





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