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「こーちゃん、あーそぼっ」

ある休日、玄関の扉を開けるとそこには満面の笑みを浮かべたあきらが立っていた。
何も約束はしてないけど、そんなのはいつものことで、あきらは暇なときにはこうやってうちに来る。だから、俺もいつものように何も言わず家にあげようとするけど、あきらはそのときには既に元気よく「おじゃましまーす!」と言って俺の部屋に向かっていた。
ったく、しょうがないなぁ。一つため息をついてから、台所へと足を運ぶ。適当にあきらの好きなジュースやらお菓子やらを持って部屋に入ると、あきらは俺のベッドにダイブしていた。

「何やってんの?」
「…このベッド、こーちゃんの匂いがする」

俺の質問には答えず、あきらはそう言って布団に顔を埋めた。そんなあきらが愛おしくて、頭を撫でようと手を伸ばそうとしたとき、彼は急に振り返ってとんでもないことを言い出した。

「…こーちゃんってさ、僕のこと好きでしょ」

その言葉に俺は思考が一時停止。そして、言われたことを脳内でもう一度再生したと同時に、一気に体温が上昇した。

「お、おま、何言って…っ!」
「こーちゃん顔真っ赤〜」
「う、うるさいな!」

動揺を隠しきれない俺を見て、あきらはくすくすと笑った。そして、確信犯なのか上目遣いでさっきの質問を繰り返した。

「ね、僕のこと好きなんでしょ?」
「ち、ちがっ」
「ふ〜ん…。じゃあ、こーちゃんが好きって認めるまで、僕も本当の気持ち言ってあ〜げないっ」

悪戯っ子のように笑いながらそう言ったあきらは、確実に俺の気持ちに気付いてるようだった。そして、それを言うよう促すということは…
考えただけで顔が火照るのを感じた。自惚れちゃいけないとは思うけど、もう少し勇気が出たら、そのときは想いを伝えてみようかなんて思えてきた。



(勇気が持てるまで)(もう少し待ってて)

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