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※病




…あぁ、どうして届かないのでしょうか?
こんなにも貴方を想っているというのに…



俺は、今日も彼の写真を見ながら溜め息をついていました。そこに写る彼はとびっきりの笑顔で、それを見ていると本当に愛しく思えるんです。だから、これで我慢してたんですよ?だって、貴方はあの黒髪の少年の恋人だから。
でも、俺は気付いたんです。この写真に写る彼の笑顔は、あの憎くて我が儘な少年に向けられている笑顔だってことに。俺が持つ何百枚という彼の写真の笑顔は、全てあの少年に向けられているものだってことに…!
どこまでも俺の恋路を邪魔する少年に対する怒りと嫉妬が渦巻く中、俺はいいことを思い付きました。最初からこうすればよかったんですね。俺は直ぐに実行に移しましたよ。だって、善は急げと言うでしょう?俺は本当に貴方が愛しくて堪らないんですよ。それなのに、どうして届かないのでしょうか?
 

綺麗に輝く銀色の髪も

長くて細い指も

透き通った瞳も

整った顔立ちも

優しいその性格も

貴方の総てが好きだというのに…


「ねー、こーちゃん!今度のデート、何処にしよっか?」

俺の思考をも邪魔する少年の甘えたような声が聞こえた。
あぁ、君はどこまで俺の邪魔するのですか!本当に憎たらしい…

「えっと、その、あきらとなら何処でもいい、よ」

頬を赤らめて言う彼の姿にはときめきますが、その表情をさせてるのがあの少年だと思うと…っ!
…でも、今に見ててください。絶対に彼を俺のものにしてみせますから。だってほら、ずっと傍にいるのは俺ですから。


「愛してますよ、晃一くん…」






幸せそうに笑う二人は知らない。

晃一の部屋に一人の住人が増えていることを…。




(貴方ノコトヲ)(イツデモ見テイマス)


- END - 





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