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※大学生パロ



「じゃあ、ちゃんとオレンジジュース買ってきてね!」
「はいはい、分かったよ」

久しぶりにこーちゃん家に遊びにきた僕は、半ば無理矢理こーちゃんを買い物に行かせた。何でそんなことをするかって?それは、こーちゃんの部屋を物色するため。高校を卒業して、会う回数が少し減って、もしかしたら僕以外に好きな人ができたかもっていう不安に駆られたんだ。もちろん、こーちゃんが上手く隠し事をできるほど器用じゃないことは知ってるし、僕を大切に想ってくれてるとも思う。でも、高校生までとは違って毎日会えないということが、僕を不安にさせたんだ。
…それにしてもこーちゃん、ホントに勉強に必要なものしか置いてないなぁ。別の物といったらせいぜいトランプくらいで、僕の机に並べてあるような漫画は一冊もない。こんな活字ばっかりの本を読んで面白いのかなぁ?そう思って、一冊の本を手に取ってみる。あー、無理。こんなの見てたら頭が痛くなってきちゃうよ。こーちゃん、よくこんなの読んでられるね。ほんの少し見ただけで頭が痛くなってきた僕は、本を元あった場所に戻そうとした。が、そのとき、何かがヒラリと足元へと落ちた。

「何だろ?」

落ちたものを拾って見てみると、それはしおりだった。三つ葉のクローバーが押し花のようにしてあるそのしおりは、少し古いもののように感じる。わざわざ三つ葉を拾って押し花にするなんて可愛いなぁ。と思いながら再び目をやったとき、僕ははっとした。違う。三つ葉のクローバーじゃない。これは、僕があげた偽りの四つ葉のクローバーだ。その証拠に、葉の一つが縦に裂かれて葉が四つになっている。こーちゃん、あの後とっておいてくれたんだ…。僕は、そのしおりを元あったところに挟み、本を戻した。
こーちゃんに他に好きな人ができたかもだって?そんなのとんでもない。勝手に不安になって疑ったりしてごめんね。こーちゃんは、今でも四つ葉を大事にしてくれるくらい僕を想ってくれてたね。

「ただいまー」
「おかえりっ、こーちゃん!!」

僕は急いで玄関まで行き、こーちゃんに思いっ切り抱き着いた。

「うわっ、いきなり抱き着くなよ。危ないだろ」
「こーちゃん、だぁーい好き!」
「え、あ、うん。ありがと」

少し頬を染めて僕の頭を撫でてくれる君の手は温かくて、優しくて。これからもずっとこの温もりと優しさを近くで感じていたいと思った。




(四つ葉のクローバーは)(確かに幸福をもたらした)

- END - 





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