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あきらと付き合い始めてから2年が経った。
この2年間は本当に幸せで、でもそれと同時にずっと不安があった。俺があきらを縛っているんじゃないかって。俺があきらの将来を壊しているんじゃないかって。
あきらのことが好き過ぎて想いを伝えてしまった瞬間から、俺はあきらを見えない縄で縛り付けていたんだ。元々一緒にいる時間は多かったけど、付き合い始めてからはもっと増えた。
あきらを束縛したいわけじゃない。でも、帰ろうとするあきらの腕を掴んで、まだ一緒に居てほしいと言って引き留めているのは俺だ。そして、俺がそう言うと、あきらは決まって、こーちゃんは寂しがりやさんなんだから、と言って困ったように笑うんだ。その後も、ずっと抱きしめて手を握っていてくれる。
…なんて俺は我が儘なんだろう。なんて俺は子どもなんだろう。どんどんあきらに依存していく自分が怖かった。そして、同時にあきらを縛り続けることも怖かった。だから、心にもないことを言ってしまったんだ。そうすれば、少しは楽になれると思ったから…。

「あきらなんか嫌い。もう一緒にいたくない。別れて」

あぁ、俺はなんて残酷な言葉を吐いたんだろう。結局、俺は楽になんかなれてないじゃないか。むしろ、苦しくて仕方がない。でも、あきらは?きっと俺よりも苦しい思いをしてる。だって、俺の言葉を聞いたあきらは、今まで見たことがないくらい辛そうで、哀しそうな表情をしてた。
別れを告げたのは自分なのに、思い出すだけで涙が止まらなくなった。あきらのことがこんなにも大好きなのに、自分で壊した。こんなにも簡単に壊せるものだなんて、思ってなかったんだ。

「…っ、あきら。大好きだよ…」







「…だったら、まだ傍に居させてよ」

「!!」

突然聞こえてきたあきらの声。驚いて振り向けば、ドアのところにあきらが立っていた。静かに涙を流しながら、俺をじっと見つめている。

「…僕、こーちゃんに嫌われても一緒に居てほしいって思ったから、ここに来たんだよ」
「、あき…っ」
「でも、こーちゃんはまだ僕が好きなんでしょ?だったら、まだ一緒に居てよ、離れないでよ…」

あきらは、まだ俺を必要としてくれていた。こんな自分勝手な俺を。離れないでなんて、言われる資格ないのに…。
何も言えない俺を、あきらは包み込むように抱きしめてくれた。ただ黙って手を握ってくれた。
…やっぱり嫌だ。俺は、あきらを手放したくない。あきら、嫌いなんて言ってごめん。あんな酷いこと言ってごめん。もう離さないから。あきらを大事にするから。だからもう一度、君の隣に居させてください。
俺は、もう二度と離れることがないように、あきらの手を強く握りしめた。




(君の存在が)(俺の生きている証)

- END - 





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