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『今年も残すとこあと30分ですね』
『そうですねー。一年は早いものですね』

テレビの中で、バラエティ番組の司会者が会話しているのを聞いて、部屋にいた全員がもう今年も終わるのかと感じていた。今年は千鶴の提案によって、いつもの5人組で要の家で新年を迎えようとしていた。

「…そういえば、皆さんは新年の抱負って決めましたか?」
「新年の抱負?んー、俺は特にないかな。春は?」
「僕は成績向上ですかね。勉強をより頑張ります!」
「七夕の願い事と一緒だな」

要のツッコミに苦笑いするも、春は他のメンバーにも新年の抱負を聞いてみた。すると千鶴は答える変わりにこう発言した。

「四字熟語で新年の抱負を言ってみようぜ!」と。

「…言っとくが、成績向上は四字熟語じゃねぇぞ」
「だ、黙らっしゃい!そんなこと知ってるっつーの!」
「じゃあ千鶴、四字熟語で新年の抱負言ってよ」
「やる気満々」
「うわー、言っちゃったよね」
「ひらがな入ってる時点で四字熟語じゃないって気付いてほしいよね」
「…俺、こいつと縁切っていいか?」
「うそうそ!今の嘘!アメリカンジョークだから!春ちゃんは信じてくれるでしょ!?


慌てて否定をし春に助けを求める千鶴であったが、視線を逸らされてしまった。彼は味方がいなくなり、頬を膨らましてむくれている。

「ちぇー、なんだよ皆して!」
「ふて腐れてる千鶴くんはほっといて。予想なんだけど、要の抱負って"無病息災"じゃない?」
「…じじくさ」
「無病息災じゃねぇ!」
「まぁまぁ、落ち着いてください。ね?要くんの抱負、何ですか?」
「臥薪嘗胆」
「かなめがね君は、またむつかしい言葉使っちゃって」
「難しくねぇだろ!」
「あ〜、はいはい。悠太は?」
「ん〜…、家内安全とかかな?祐希とか父さん、母さんが来年も健康でありますようにって」
「それ、抱負じゃなくて願望だろ」
「優しいお兄ちゃんを持って祐希くんは幸せです」
「祐希くんは本当にないんですか?」
「んー、あえて言うなら自由奔放とか?」
「うわー、それ、抱負として最悪じゃねぇかよ。もっと周り気にしろ」
「…千鶴はいつまで拗ねてるの?」
「べっつにー!拗ねてないポン!」
「千鶴くん、大丈夫ですよ!やる気満々だって、立派な抱負です!」
「春ちゃん…っ。ありがとー!」
「あ、カウントダウン始まった」
「えっ、嘘!」

『10、9、8…』

「はぁ、今年は最後までろくな会話してねぇな」
「まぁ、俺たちはいつでもこんなんでしょ」
「それもそうだな‥」

『3、2、1…、あけましておめでとうございまーす!』

「あけおめー!」
「あけましておめでとうございます」
「「おめでとー」」
「あけましておめでと」

いつもと変わらぬ調子で年を越した彼らたち。わいわいと騒ぎながら新年を迎えた彼らは、今年もまた特に変わったこともなく、ありきたりで平和な日常を過ごすのだろう。




(今年もよろしくお願いします)(俺、千鶴とだけはよろしくしたくないな)(俺もしたくない)(俺も)(皆ひどい!)

- END - 





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