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※この小説はBLで書いたつもりはありませんが、男子同士でポッキーゲームをする場面があります





「じゃかじゃん!さて問題です。今日はいったい何の日でしょーか!」

いつものメンバーでの昼食中、千鶴が突然でかい声でそう言い出した。この質問に悠太、祐希、要、茉咲の四人はいきなり何言ってんだ、という顔で千鶴を見やり、春だけが「11月11日、今日はポッキーの日ですよね」と笑顔で答える。

「そう!その通りだよ、春ちゃん!他の皆はわかんなかったの?時代遅れだねぇ」
「「「答える気がしなかったんだよ」」」
「で、ポッキーの日がどうしたのよ?」
「フ、フ、フ。よくぞ聞いてくれた。ポッキーの日といえば、あの子とちゅーの予感!?なポッキーゲームしかないでしょ!」

親指をビシッと立てて語る千鶴に、皆のアホかという視線が向けられる。

「バッカじゃねぇの?野郎ばっかでんなことして何が楽しいんだよ」
「ちょっと、私は女よ!」
「それにポッキーないしね」
「あ、僕今日ポッキー持ってきましたよ」
「春、どこの女子高生?」

ポッキーがなければ簡単に止めることのできたポッキーゲームは、春が持ってきていたことと千鶴が騒ぎ出したことによって、結局開始されるのだった。

「ではでは、ポッキーゲーム始めよー!ん〜っと、ペアはくじとか?」
「え、俺、悠太としかやんないよ」
「俺も、祐希としかやんない」
「はぁ!?お前ら自分勝手過ぎだろ!」
「だって男とキスとか嫌だし、茉咲は可哀相だもん。兄弟ならまだいいかなって」
「ってわけで、俺らは勝手にそっちで始めてるね。行こっ、悠太」
「うん。それじゃ、ポッキー1本貰っていきまーす」

勝手にポッキーを持ち、ゲームを開始する双子。残りの4人は仕方なく、双子を除いたメンバーでくじを引くのだった。
……結果、要&春・千鶴&茉咲となったのだが…

「おい春!こんなゲームばっくれるぞ」
「え!?でも、皆でやるっていうルールが…」
「さ、メリー!ちゃっちゃと始めようぜ」
「いや!何であんたとポッキーゲームなんかしなきゃいけないのよ!!」

あっちでもこっちでもゴタゴタとしていて、まともにゲームをしてるのは双子のみ。挙げ句の果てには千鶴が、春ちゃんと要っち!早くやらんかい!そっちがやればメリーも多少やる気になるかもでしょ!?などと言って無理矢理ゲームを開始しようとする始末。

「おい!おまっ、マジでやめろ!」
「ち、千鶴くん、危ないですよ!」
「春ちゃん、こんなとこ早く逃げましょ!」

数十分間ごたついた後、もう止めようという話になったのだが双子の、俺達はやったのに、何で君らはやんないの?という言葉によって、結局ゲームを再開することとなった。

「…よし、メリー。寸前で止めるから、お前は1oも動くなよ」
「当たり前よ!ホントにキスしたら一生許さないからね!」
「…春。俺、くわえてるだけでいいか?」
「あ、はい。じゃあ僕が食べ進みますね」


異様な光景

まさにこの言葉がぴったりだろう。昼休みの屋上でこんなくだらないことをしているのなんて、彼らくらいなものだ。黙々とポッキーを食べていく千鶴達だったが、短くなってきてあと少しと思ったときだった。ガチャッと音がして屋上の扉が開いたのだ。一斉に離れるペア。それを見ていたのは、授業が始まったのにいないこのメンバーを捜しにきた東 晃一だった。
そう、彼らはゲームのことにとらわれ過ぎ、授業開始のチャイムに気付かなかったのである。教員室に入った内線で、このメンバーがいないことを知った晃一は、彼らがいつも屋上で昼食をとっていたことを思い出し、ここに来たのだ。そして、目にしたのはこの異様な光景。晃一の角度から見れば、彼らはキスをしていたように見えるだろう。

「…あ、え〜っと、そっか。君達って、そういう関係だったんだね」
「えぇ!?ちょ、違いますよ!」
「勘違いです!」
「わ、私、こいつと付き合ってません!」
「「俺達もそういう関係じゃありませ〜ん」」
「あ、大丈夫だよ。先生、見なかったことにするから」
「だから、違います!!!」

全員がそう声を揃えて言うも、晃一はあまり信じていないようで、爽やかな笑顔で「さ、教室に戻るよ」と言って歩いていく。その後を慌てて追い掛ける生徒達の間には、なにやら気まずい空気が流れるのだった。




(俺、暫くはポッキー食いたくねぇ)(同感です)

- END - 





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