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日差しはぽかぽかと暖かく、心地好い風が吹く屋上。うとうとと眠たそうにしている者もいれば、読書に没頭する者もいる中、風に揺れる栗色の髪を見ていた一人の少年はふと思った疑問を口にした。

「…ねぇ、ゆっきー。髪切らないの?」
「え?何で?」
「けっこう長いなぁって思って」
「えー?そうかなぁ?」

自分の髪をつまんで見て、いつもと変わらぬ間の抜けた声を発する祐希。隣に座る悠太は、祐希の髪を触りながら、確かに邪魔そう…。の一言。

「でもさ、結んでれば邪魔じゃないよ」
「結ぶくらいなら切っちまえよ」
「え〜、要に言われると切りたくなくなる」
「あぁ"!?どういう意味だよそれ!」

いつものような言い合いが始まる前に春が仲裁に入り、なんとか要を宥める。そして、また始まる祐希の髪についての話。

「この際さ、モヒカンとかインパクトのある髪型にしてみれば!?」
「インパクトがあるのは千鶴だけでいいよ」
「もう、坊主にしちまえよ」
「いや、要がすれば?」
「お兄ちゃんが切ってあげよっか?」
「でも、完成品は春の頭でしょ?俺、あんなくるくるしたくないよ」
「ゆ、祐希くん。僕のは天パです」
「んじゃあ、俺みたいにワックスで髪立てちゃうとか!」
「えー、ありんこさんは千鶴だけで十分だよ」
「じゃあ、このまま伸ばしてみるっていうのはどうですか?」
「いや、俺春みたいに乙女じゃないからねぇ」
「普通に俺と同じくらいの長さに切っちゃえばいいんじゃない?」
「ますます見分けつかなくなっちゃうよ」
「あー、めんどくせぇな。文句ばっか言ってねぇで床屋でも美容院でも行ってこいよ!」
「う〜ん、行くのめんどくさい…」

終わりの見えてこない会話を繰り返す5人の男子高校生達。こんなくだらない会話で盛り上がれるくらい平和な日常。
こんな時間が少しでも長く続けばいいよね。




(くだらないって笑い合える)(そんな仲間達)

- END - 





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