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※死ネタ/微病







「ご飯はまだ食べれないの?」
「寒くない?」
「何か欲しいものとかある?」
「ねぇ、こーちゃん…」


何度呼び掛けても返ってこない返事。
こーちゃんが寝たきりになってから、何日経ったんだろう。こーちゃんが学校からの帰りがけにいきなり倒れて、医者によく分からない病名を告げられたのは、2ヶ月も前だった気がする。
僕が理解できたのは、こーちゃんは重い病気で入院しなくちゃいけないってことだけだった。でも僕は2日前に、こーちゃんを誰にも気付かれないように病院から連れ出した。……いや、連れ去った。だって、そうしないとこーちゃんは二度と起きれなくなっちゃうから。

こーちゃんの呼吸は止まった。
身体も冷たくなった。
目も開けなくなった。
肌も真っ白になった。

皆はそれを見て、'こーちゃんは死んだ'って思って焼いて土の中に埋めちゃうつもりなんでしょ?…でも、違うんだよ。こーちゃんは死んでない。少し長い眠りについただけだもん。
それを分かってるのは僕だけ。だから、僕の部屋で布団に寝かせといてあげるの。もちろん僕は、学校も行かずに引きこもり。
ここから離れたらお母さん達に見付かって、こーちゃんを連れていかれちゃうからね。それに、こーちゃんが起きたとき、傍にいて一番最初に声を聞きたいから。



「…こーちゃん、いつかまた僕の名前を呼んでくれるよね?」

僕はこーちゃんが再び目を開けてくれるその日を、いつまでも待ち続けている…。


- END - 

 




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