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「悠太のタイプってどんな子?」

読書をしていた俺の横にすすすと寄ってきて、祐希はそう言った。思わぬ質問にぽかーんと相手を見上げるだけの俺に、祐希は再び同じ質問を投げ掛ける。

「ねぇ、悠太のタイプってどんな子?」
「タ、タイプ?」
「清楚な子とか元気のいい子とか、色々あるじゃん」

好きなタイプ。
そう言われも、今までそんなこと聞かれたことないし、考えたこともなかったから分からない。そもそも、自分には好きなタイプがあるのかさえ疑問だ。

「ごめん、分かんない」
「そっか。…じゃあさ、好きな人は?いるならその人の特徴教えて。いないなら、前に好きだった人のでいいから」
「え、祐希どうしたの?」
「いいから答えて」

いくら問い質しても全く理由を言ってくれない。ただ「答えて」という言葉が返ってくるだけ。こうなったら俺が答えるまでは他に何も言わないだろうな。まったく、仕方ないな。

「…人と関わることが嫌いで、面倒臭がりな子だよ。でも、ちゃんと優しさももってて、気遣いもできて…。少し不器用なだけじゃないかな。そういうところは可愛いと思う。あとは俺にないものをもってるから羨ましいって思うよ」
「悠太の好きな人って、なんか複雑だね。扱いが面倒臭そう」
「そうだね。でも、俺は大好きだよ」
「…俺よりも?」

その声はどこか切なげで、今にも泣きそうに聞こえた。表情を見てもいつもの無表情とは違って、不安そうな顔をしていた。そして再び同じ言葉を繰り返す。

「俺よりも好き?」
「…同じくらい?」
「何で疑問形なの?」
「だって…」

そりゃ疑問形にもなるでしょ。その質問、すごく返事に困るよ。難しすぎて。…そんな不満そうな顔しないでよ。本当にどうやって答えたらいいのか分からないんだからさ。
だって、俺の好きな人は君だから。







「祐希、あのね…」


- END - 





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