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"愛してる" "大好き"

俺の悠太に対する気持ちを表すとしたら、この二つの言葉しか思い浮かばない。でも、この言葉達は俺の気持ちを表すには安っぽい気がする。こんな言葉じゃ、表現できないんだ。そう思って、他国の言葉も試してみた。もしかしたら、外国には俺の気持ちにピッタリの言葉があるかもしれないから。

「I love you」

「Ti amo」

「Ich liede dich」

「Je t'aime」

「我愛弥」

「Я тебя люблю」

「Te puiero」

「Σε αγαπω'」

たくさんの言葉を口にしてみたけど、言う度に俺の気持ちは嘘になっていく。言えば言うほど安っぽく聞こえるんだ。そりゃそうだよね。だって、形が変わっただけで、言ってることは一緒だもん。

世界中に存在するたくさんの言葉。
人はそれを遣って相手と通じ合うけれど、総てを言葉にすることなんかできないんだ。だから、うまく伝わらなくて間違った受け取り方をされこともある。…でも、それでも、人は様々な言葉を口にする。単なるお喋りなら、思い付いたことをそのまま伝える。大切なことなら、じっくり考えて、悩んで、一番しっくりくる言葉を選んでから相手に伝える。だって、それしか解り合う手段がないから。そこまで考えてみて、ため息をついた。あ〜あ、やっぱ気持ちを伝えるには言葉にするしかないのかなぁ。他の手段を知らない俺は、今日も眠ている悠太の耳元で愛を囁くことしかできないでいる…








「…悠太、愛してる」



(囁いた愛の言葉は)(夜の闇に掻き消されていく)

- END - 





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