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「あきら、どうした?」

ある日の放課後、職員室から溜め息をつきながら教室に戻った僕に、こーちゃんが聞いてきた。

「どうしたもこうしたもないよ。先生ったら、僕が真剣に考えた進路を否定したんだよ!」
「えっ、どういうこと?」

僕は昨日提出した進路調査書のことで先生に呼び出され、お説教を受けたことを説明した。

「僕はただ、進路先の第一希望に"こーちゃんのお婿さん"って書いただけなのにさ!」
「へー…って、ちょっと待て!お前今、何て言った?」
「だから、僕の進路先はこーちゃんのお婿さんって書いたの!一回で聞いてよ」
「バッ、おまっ」

こーちゃんは顔を真っ赤にしてよく分かんないことを言ってる。嬉しすぎて言葉にならないのかな?でも、僕はさっき先生に言われた言葉をこーちゃんに言わずにはいられない。だって、こーちゃんに説得してもらえるかもしれないし。

「先生ったら"進路先くらい真剣に書け!"とか言うんだよ。もう、信じらんないっ」
「信じらんないのは、お前の頭だよ!」
「何で?……あ!こーちゃんって書いたのがいけなかったんだね。東 晃一ってちゃんと書かなきゃだよねっ」
「そういうことじゃなくて!」
「……あっ、そっか!そういうことだね!?うん、分かった!」
「え、ちょっ、待て待て待て!何が分かったんだよ!?」
「だから、こーちゃんや先生が僕の進路を否定した理由だよ!……よしっ、書き直したから提出してくるね!」

今度こそ完璧!
僕は、書き直した進路調査書を提出しに職員室へと急いだ。
 

…結果、僕はさっきとは比べ物にならないくらい怒られました。「ふざけるのもいい加減にしなさい!!」って。僕は、さっき怒られたのは身長的に無理があるのが原因だったと思って、第一希望を"こーちゃんのお嫁さん"に書き直したのに、何でまた怒られんの?んー、こういうことでもなかったのかな?

「こらっ、聞いてるのか!?進路は真剣に考えなさいって言っただろ!?」

「だから、僕は真剣です!こーちゃんと結婚して楽しい家庭を築くんです!」
「………」

僕の言葉に、担任の先生は放心状態。あーあ、もう僕の声なんか聞こえてないよ。帰っちゃおっかな。





翌日、先生は僕とこーちゃんを呼び出して何やら必死に男同士だからどうとかって力説してた。
僕の進路は、まだまだ決まらなさそうです。


- END - 





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