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俺 は ず っ と

貴 方 に 憧 れ て い ま し た







卒業式を終えたあとの帰り道。俺は先生と肩を並べて歩いていた。
どうしても伝えたいことがあって、俺が校門前でずっと待っていたんだ。そんな俺を見て先生は驚いたみたいだけど、快く一緒に帰ることを承諾してくれた。

「…なんか、変なかんじだな。こうやって塚原くんと歩くのは」
「え?」
「いや、なんか嫌われてるかなぁって思ってたからさ」
「…そんなこと、ないです」

そう捉えられてもおかしくないとは思ってた。いつも爽やかな笑顔で声を掛けてくれる先生に対して、俺はろくに目も合わせず素っ気なくしか話せなかったから。
でも、本当は憧れてたんだ。格好いいところとか、生徒への接し方とか、大人な考え方とか、色々。東先生を尊敬したし、こんな大人になりたいと思った。だからネクタイも真似をした。少しだけど、近付けるような気がしたから。でも、憧れてるなんて知られるのは照れくさくて、どうしても追い付けないくらい完璧な先生が大嫌いで、大好きで…。たくさんお世話になったし教えてもらったこともある。だから…、だから今日こそは伝えたいと思った。

「…東先生」
「ん?どうしたの?」

立ち止まって、先生と向かい合って立つ。何度も言おうとしたけど、言えなかった言葉。伝えたかったけど、伝えられなかった言葉。




本当にお世話になりました
先生と出会えてよかったです

いつも気にかけてくれて、
いつも笑いかけてくれて、
いつも優しく接してくれて、







「ありがとうございました」




(俯いてしまったけどやっと伝えられた言葉)(顔を上げた俺が見たのは)(いつもの優しい笑顔)

- END - 





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