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「そっくりだねぇ」
「まったく見分けがつかない」
「あれ?違ったの?」

小さい頃、遊び感覚で前髪を同じにしてみた俺達を見て、友達や近所のおばさん達が言ったこれらの言葉を、俺は今でも覚えてる。
前髪が一緒でも、皆見分けがつくものだと思ってたから、両親以外の人が区別がつかなかったことに、少しショックを受けた。だって、俺達は双子であるけど別々の人間だから。でも、一人だけいたんだ。祐希と俺を見分けた人が。
いつものように一緒に遊んでいてその子が転んでしまったとき、大丈夫?と声を掛けて手を差し出してあげたら、その子はニッコリ笑って「悠太くん、ありがとうございます」って言ったんだ。そのときは、偶然かなと思ったけどその子は…、春はその後も必ず俺達を見分けた。…そんなことをこの前、ふと思い出したから聞いてみたんだ。何で祐希と俺の区別がつくの?って。そしたら、彼は笑顔で言ったんだ。

「二人は似てるけど、全然違いますよ。それに、悠太くんはやっぱりお兄ちゃんって顔してますからね」って。

前髪を下ろしてるのが祐希で真ん中分けが俺。昔からそうやって見分けられてきたけど、俺はそんなことしなくても分かってほしいって、心のどこかでは思ってた。
だから、春が俺達を見分けてくれたのが嬉しかった。多分、祐希もそれは同じだと思う。今では、性格で区別がつくなんて要は言うけど、春は昔から中身も外も両方全然違うと言ってくれた。そして、"浅羽 祐希"ではなく"浅羽 悠太"が好きだと言ってくれた。…だから大事にしたいんだ。俺をちゃんと見てくれる春を。
春、大好き、と小さく呟いて隣にいる春をぎゅっと抱きしめれば、悠太くん?とくりくりした目で俺を見上げてくる。
その綺麗な瞳は、きっと世界で一番澄んだ瞳なんだろうね。

- END - 





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