The symphony of black wind
- 風の配達屋(3/4) -


イセリア村のとある家の前に来てみれば、プラチナブロンドの髪の少女……コレット・ブルーネルとジーニアス、それから義弟のロイドがいた。


「あ、ミライだ!」

「こんにちは〜」

「早いな、もう帰ってきたのか」

「まぁな」



三者三様の反応を返す彼らに軽く返し、そのままコレットの手元を見ると可愛くラッピングされたお菓子があった。どうやらそれはジーニアスが作って渡した物のようだ。

ロイドは………やっぱり忘れてるな。



「もう渡したのか。……じゃあ俺からも、ホラ」



そう言ってコレットに小さな箱を渡した。



「お誕生日おめでとう」

「ミライ……ありがとう!」



ニコリと嬉しそうにコレットは微笑んだ。本来、妹とはこんなモノなのだろうなと思いつつもミライは開けてみるようにと促す。



「わぁ!」



箱を開けるとポロンポロンと音楽が鳴った。……そう、ミライが渡した物は自鳴琴【オルゴール】だった。



「綺麗な音色〜♪」

「スゲーなミライ! いつの間にこんなの作ったんだよ?」

「お前が木刀振り回している時に決まってるだろ」



笑いながら言うとロイドは「ただ振り回してるだけじゃねーよ!」と怒って頬を膨らました。



「ガキくせー」

「しょうがないよ。ロイドだもん」

「なんだとっ!!」

「はははは」



ジーニアスも一緒になってからかうと更に怒る。それには思わず皆(ロイドを除く)で笑った。しかし、そんな有り触れた日常も今日で終わってしまうのかと思うと少し寂しい。



「コレット」

「なあに?」

「明日、旅立つんだよな」

「……うん。わたし、再生神子として選ばれたから」



そう言ってコレットは寂しげに微笑んで頷いた。



「そうか……んで、誰と一緒に行くんだ?」



ここに来る前に寄って来た聖堂で聞いた話では護衛につく筈の祭司達は先だっての騒ぎで皆殺されてしまったらしい。

だとしたら護衛は誰が……?



「あ、それはね。リフィル先生とクラトスさんがついて来てくれる事になったの」



その言葉にロイドの機嫌がますます降下していくのがわかった。



「どうした?」

「あぁ、実はね。さっき聖堂に行った時にクラトスさんに色々と貶されたから根に持ってるんだよ」

「成程。そりゃ短気なロイドは怒るわな」



しかしそのクラトスと言う者は護衛に付くと言うくらいなのだから相当な実力者なのだろう。傭兵、とジーニアスも言っている。



「でもリフィルまでいなくなるのか。ますます寂しくなるな」

「そうだね……」

「まぁ、たまには帰って来て元気な姿を見せに来いよ」

「うん! じゃあ、わたしはそろそろ戻るね」



そう言いながら笑ってコレットは家へ入っていった。しかしミライにはその様子がどこか変な事に気が付いた。



(何か隠してるっぽいな……俺の気のせいか?)



そんな彼女の様子に気付いていないのか、ロイドとジーニアスはコレットの誕生日プレゼントの事で話していた。


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