The symphony of black wind
- 火の神殿(10/10) -


朝になり、コレットもミライも完全回復し、海を越えた先にあるパルマコスタへと行く為に一度船を借りにイズールドへと向かう事になった。アリアはイセリアの聖堂を見に行くとの事でここでお別れだった。



「皆さん。短い間でしたがどうもありがとうございました」



アリアがペコリと頭を下げた。それにロイド達も笑顔で言った。



「こっちこそ、戦闘中とか助けてもらったし。ありがとな!」

「また色々とお話しようね!」

「今度会った時にはもっと譜術やアリアのいた世界の事を教えてよ!」

「はい」



ロイドに続いて言ったコレットとジーニアスの言葉にアリアは嬉しそうに頷いた。そこでロイドがあ、と何かに気付いたように声を上げた。



「敬語!」

「敬語……ですか?」



アリアが彼の言葉をオウム返しに聞き返すと、ロイドはうんうんと頷いた。



「無しで良いぜ。何かそう言うのってくすぐったいしな」

「そうですか?」

「そうだよ〜」



コレットも頷く。



「せっかく歳が近い友達なんだもん。対等じゃないとね!」

「友達……」



その単語に目をパチクリさせる彼女の頭にミライは手を置いて軽く掻き撫ぜた。



「こう言う奴等なんだよ。このチビ共は」



そう言ってやるとジーニアスとロイドから「チビって何だ!」と反論が返ってきた。それにミライは笑った。



「ははは。まぁ、とにかくそう言う事だからさ、これからも仲良くしてやってくれよ」

「はい……じゃなくて、うん!」



今度は元気よく頷いたアリアにロイド達は舞い上がった。



「ヨッシャー!!」

「これで本当の友達だね〜」

「改めてよろしくね!」

「うん!」



ワキワキアイアイと戯れる四人にリフィルは苦笑した。



「まったく……子供ね」

「子供は元気なのが一番だよ」



そんな彼の言葉にリフィルは「そうね」と優しい溜め息を吐いた。その時高く上がり始める太陽を見ていたクラトスが口を開いた。



「そろそろ出発するぞ。これ以上留まれば、それだけ砂漠越えが厳しくなる」



それにロイドを除く三人は「はーい」と返事をした。流石にロイドは年齢的に恥ずかしかったのだろう。



「じゃあ、今度こそお別れだな!」

「うん。……コレットちゃん、それから皆も世界再生の旅頑張ってね!」

「ありがとう。アリアもいつか精霊に会えると良いね!」

「その為にはまず私達が各場所の封印を解放しなければならないのだけれど」



リフィルがそう言うと、ジーニアスが苦笑した。



「ま、それもそうだけどね」

「大丈夫だって! な、コレット!」

「うん!」



ロイドの言葉にコレットは頷いた。



「お前らー、良い加減行くぞー」



ミライがそう四人を呼ぶと、ロイド達はアリアに「またね」と手を振ってこちらに走ってきた。



「ミライさん!」

「? どうした?」



名前を呼ばれ、ミライはアリアに近付いた。すると彼女はミライの耳にそっと耳打ちした。



「頑張って下さいね」



そう言ってアリアはミライの首の直ぐ下をつんと指で触った。触れた所からは指の感触とは違う、硬い鉱物が触れる感じがした。



「!!」

「それと」



驚くミライを余所にアリアは更に続けた。



「今度会った時に、ミライさんの大切な"あの人"が誰なのか教えて下さいね♪」

「へ!?」



今度は別の意味で驚くと、アリアはクスクスと笑った。



「わたしだって女です。そう言う色恋沙汰には敏感なんですよv」

「色恋って……」

「それではまた!」

「え、おいっ!」



何かを返す前にアリアはイセリアがあるであろう方角に向かって走り出したしまった。ミライは呆然と一人残された。



「本当に……不思議な子だ」



暫くして苦笑が漏れた。……アリア、ミライがいた世界とはまた別の世界から来た少女。恐らく、また会えるだろう。



「おーい、ミライー! 早く行こうぜー!」



既に先へ進んでしまったロイド達の呼ぶ声が遠くから聞こえた。ミライは一度、先程彼女が触れた"精霊からの贈り物"がある場所に手を当てた。



「よし……行くか!」



当てていた手を離し、腰に着けている弓を確認して仲間の所へと走った。






さあ、これからが俺の












本当の旅の始まりだ!













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