The symphony of black wind- 悲しき旅立ち(3/3) -
「! あれは……!?」
町の入口に数人のディザイアンらしき武装した兵士がいた。そして一人の兵士が抱えている赤服の人物は……ロイドだった。側にはジーニアスが悔しそうに拳を握り締めていた。
「見付かったのか……」
ミライは物陰から彼らが二人を連行するのを見送ると、宿屋の側に残したノイシュに近付いた。
「お前は無事だったんだな」
そう言いながら頭を撫でてあげると、気持良さそうにクゥと鳴いた。
「よし、ロイド達を追い掛けるか!」
「ウォン!」
ノイシュに飛び乗り、日の傾きかけた昼の砂漠を走り出した。
「あれは……」
ミライが去るのを見ていたまだまだ幼い顔付きの少女は、その可愛らしい金色のポニーテールを風に揺らしながらポツリと呟いた。
「どうした?」
それに気付いた橙色の髪を持つ青年が問い掛けると、少女は「何でもない」と首を横に降った。
「……只、どこかで感じた力だなって」
「ふーん……」
青年は大して興味無さそうに返したが、その顔には険しい表情が浮かんでいた。
「まさかだとは思うが…………って、あれ?」
青年が振り返ると既に少女はそこにはいなかった。
「またかああああああっ!」
頭を抱えながら叫んだその声も賑やかな人々の声に紛れて消えた。
Chater3・・・>> Chater4