The symphony of black wind- 旅立ち前夜(4/4) -
「お前は………人間か?」
「……………はい?」
あれー俺ってばいきなり自分の種族を疑われちゃってるよ、と言う言葉は何とか呑みこんだ。
「そうだけど……。何でそんな事聞くんだ?」
「……いや、別に」
なら聞くなよ。そう思いながら相手にわからないように溜め息を吐いた。
(……でも)
やっぱ気になる奴は気になるのかな? この人では有り得ない量のマナに……。
*◇*◇*◇*◇*◇*◇*◇
「では私達はこれで失礼するわね」
そろそろ帰ると言うリフィル達を、ミライとロイドは橋の所から見送る事にした。
「ああ。コレット、リフィル、……それからクラトスも、旅の無事を祈ってるぜ」
「うん、ありがとうミライ」
「貴方もロイドとジーニアスを頼むわね」
「…………」
ミライが言うと二人はそう返し、クラトスは無言で頷いた。
「コレット、……明日着いて行くから」
「…………」
ロイドがコレットに小さな声でそう言っていたのが聞こえた。やはりと言うべきか、予想通り過ぎる義弟にミライは苦笑を禁じ得なかった。別に止めるつもりはない。彼が決めたのなら、自分は精一杯笑顔で送り出してあげるつもりだ。それが己の出来るロイドと、そしてコレットへの気持ちだった。
「さーて、さくっとプレゼント作っちまうか!」
コレット達が完全に見えなくなって、ロイドはうーんと背伸びをしながら言った。
「作るのは構わないけど、徹夜して明日の見送りに遅れないようにしろよ」
「わかってるって!」
……ホンマかいな。イマイチ心配なロイドにミライは盛大に溜め息を吐きたくなった。
(俺の幸せが逃げていく……)
そんな彼の心境とは裏腹に、空は満天の星がはっきりと見える程澄みきっていたとか。
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