A requiem to give to you
- 城砦都市(12/13) -



「……冗談だよ。ちゃんと導師の護衛をするし、バチカルまでの道中の協力はしてやるさ。まぁ、信用出来ないって言うンなら見張ってりゃ良いしな」

「……………」



ジェイドは意図の読めない彼を見つめ、暫くしてから溜め息を吐いた。



「良いでしょう。取り敢えずは貴方を信用します。それに………万が一にも貴方が裏切ったとしても、そこの三人がまず黙っていないでしょうしね」



そう言ってタリス達を見れば、 揃って頷く。それにグレイが「お前らなァ」と頭を掻きながら溜め息を吐くと、心配そうに事の成り行きを見守っていたルーク達を振り返った。



「つー訳で、前に武器向け合ったりしたけどよ、暫くは一緒に旅するって事でヨロシク」

「お、おう……」



思わず頷いてはしまったが、何とか話がまとまり、緊張していた面々の表情が幾らか和らいだようだ。それに乗じてレジウィーダがどこからか取り出したクラッカーを鳴らした。



「うっしゃー! てな訳で、再会&新しい友達が増えた記念にお祝いじゃー!!」

「〜〜〜っ、ウルセェ馬鹿女!! 耳元でンなモン鳴らすンじゃねェ!!」



耳に大ダメージを受けたグレイがキレて拳を振り下ろすと、レジウィーダはそれをヒラリと避ける。次いでティアとヒースに飛び付いた。



「な、なに……?」

「……………」

「ぬふふっ、こんなにも可愛いこちゃんや美人さんらが揃ってるんだもん。これは着させ甲斐があるよねー」



そう言ってどこからともなく取り出したのは…………セーラー服と魔女っ娘服、そしてタキシードスーツ。それに瞬時に危険を感じたヒースはバッと彼女から離れた。



「あ、ちょー逃げないでよ」

「断固拒否! 絶対に着ないからな!」

「えー折角なんだから皆で仮装パーティしようや♪」



ほら、皆の分用意してあるよ。そう言ってルークに『女王の衣装』、ティアに『タキシードスーツ』、ガイに『カウボーイの衣装』、イオンに『セーラー服』、ジェイドに『新●組の衣装』、ミュウに『サングラスと玩具のピストル』、タリスに『矢絣(やがすり)』、グレイに『でっ●いうの衣装』を手渡した。それぞれが興味深そうにそれらを眺める中で、某緑色の恐竜の服(と言う名のただの着ぐるみ)を持つグレイは手を震わせながらそれを投げ返した。



「テメェ……嘗めとンのか! つーかせめてもうちょいジャンルを統一しやがれ!!」

「仮装パーティにジャンルもへったくれもないだろー」

「ならせめてこの死んでるセンスを何とかしろ!」



何だよでっ●いうて!

そう言って怒鳴るとレジウィーダは、



「いやプー♪」



ベーと舌を出しながら逃げ出した。それに基本的に沸点の低いグレイが黙っている筈もなく、両手に爆弾を持ちながら「待ちやがれ馬鹿女!!」とレジウィーダを追いかけた。そんな二人を呆然と見送る残された面々と面白そうに笑うタリス。そしてヒースは深い溜め息を吐いた。



「本当に子供よねぇ」

「はあ………これからまた煩くなりそうだな」

「とか何とか言ってお前も口元緩んでるじゃねぇかよ」



と、ルークが思わず突っ込んだ。それにガイが笑ってルークの肩を叩いた。



「でも良いじゃないか。退屈はしなさそうだぞ」

「……ま、それはそうかもな」



この後、レジウィーダとタリス……それに便乗した愉快犯達によって仮装パーティが開かれたとか開かれていないとか。






光が集い、変わり始めた新しい運命の歯車が回り出す。

しかし彼らはまだ知らない。光があれば影が出来、輝きを増せば増すほど………その暗闇は深まると言う事を……───













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『ケロッと!マーチ』より歌詞一部引用しました。
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