A requiem to give to you
- 城砦都市(6/13) -



「何で電話が使えるのかもそうだけれど、そもそも何で電話を掛けてきた時にルークから私に話が来なかったのかしらねぇ?」

「うぎゅぅぅぅ……」



レジウィーダの頬を左右に伸ばしながらタリスは問い掛けるが、これでは答えられない。しかし手を離す気もないらしく、彼女はルークを向くと彼は内心脅えながらも答えた。



「いや、だって何つーか……コイツが……二人の秘密にしようって……」



それにタリスは再びレジウィーダを見た。



「本当かしら?」

「ほんふぉーへふ(ホントーです)」

「そう……因みに私の携帯の他には?」

「はへはへぇほ、へふぁはった(掛けたけど、出なかった)」

「まぁ、それは仕方がないわねぇ」



(宇宙語……?)



て言うか、何故あれでタリスも理解が出来るんだ。ルークはそう思わずにはいられなかった。



「えー、よろしいですか?」



不自然な咳払いと共に会話に入ってきたのはジェイドだった。



「楽しそうなところを大変申し訳ないのですが、そろそろ隠れた方がよろしいかと思います」

「は? 何でだよ」



彼の言葉に反応したのはルークだった。しかし他の者達は直ぐにわかったらしく、タリスは何故か飛び出そうとしたレジウィーダを、ガイはルークを連れて近くの花壇に隠れた。飛び出る草花の合間から覗く先には……美人。レジウィーダの事だから、放っておいたらまず間違いなく"いつもの癖"を発揮していた。……勿論、隠れた理由はまた別にあるのだが。



「あいつって確かタルタロスの時の……!」



どうやらルークも気付いたらしい。その美人とはいつしかイオンを奪還せんとしてタルタロスを襲撃してきた六神将の一人だったのだ。



「導師は見つかったか?」

「はっ、ここ数日街を見張っておりましたが………導師はおろか死霊使いらすら出入りはしていないようです」



兵士の報告に六神将、リグレットは「そうか……」と溜め息を吐いた。



「何、結局無駄足な訳?」

「………シンクか」



詰まらなさそうに現れたシンクに続き、ラルゴ、アリエッタ、そしてグレイも街へと入ってくる。その時、グレイの足に何かがぶつかってきた。



「あぁ?」

「わ、ごめんなさい!」



それは街の子供で、遊びに夢中で前を見ていなかったらしい。慌てて謝る子供にグレイは鬱陶しそうに「良いから行け」とその子供の友達だと思われる集団の元へと追いやった。子供は一瞬戸惑うも友達と合流すると直ぐまた元気良く遊び始めた……のだが、



「♪ゲロッゲロッゲロッ! 高らかに〜」

「♪勝利のおた・け・び〜を〜」

「♪ゲッゲロッゲロッ! 張り切って〜」

「♪電話に出たらファクシミリ!」













「…………………は?」



何だかものすごーく聞き覚えのある歌にグレイは思わず子供達を凝視した。



(え、アレ……アレってアレだよなアレ。一昔前に流行ってたインベーダーアニメのアレ。オレ漫画持ってたよアレェ………って、えええええっ!?)



グレイは混乱していた。



「兄貴?」



どうしたんだ?、と後ろから話し掛けられ振り返ると、真っ黒なローブを纏い、目深にフードを被ったフィリアムが心配そうに見ていた。



「どこか悪いのか?」

「あー………いや、何でもねェ。気にすンな」

「そう……なら、良いけど」



その言葉に頷きながらも皆を見れば、いつの間にかディストも来ていたようだ。………思いっ切りシカトされていたが。



「導師守護役が彷徨いてたって言うから来たけど、何もないようならさっさと引き上げるよ」


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