A requiem to give to you
- 城砦都市(4/13) -



バンッ



「ブヒィッ!!」

『!!?』



物凄い勢いで入ってきたのはブウサギだった。しかしそれはエンゲーブでルーク達が見たようなブウサギに比べて毛艶が良く、綺麗な首輪を着けていて、そして何故かとても青い顔をしていた。



「な、何でブウサギ……?」

「ペットかしらねぇ」

「……………」



ルークとタリスがそれぞれの思った事を述べ、嫌な事でも思い出したのか無言で眼鏡を押し上げるジェイド。そんな微妙な空気が漂う中で更なる乱入者が現れた。



「うおりゃああああっ!!」

「ブキィッ!?」

「もう逃げられないんだぜアンソニー!!」

「だ……から、……アウグスト、だと……言っ」













「なぁ、ジェイド。アレもお前の同僚?」

「ははははっ………………………そんな訳ないでしょう」



だよなぁ、と言ってブウサギを捕まえて怪しげな笑いを浮かべている、先程建物の上に現れたオレンジ髪の変なサングラスに変な服を着た少女を見た。因みに後から銀髪のマルクト軍人が息を切らしながら入ってきたが、彼こそがこの基地を預かるグレン・マクガヴァン将軍らしい。



「おおっ、グレン帰ったか。久し振りにジェイド坊やが遊びに来ておるぞ」

「! 死霊使いジェイド……!」

「これはこれは将軍。お久しぶりですね〜。それと元帥、遊びではありません」



そう言って対峙二人の間には火花が散っている……ように見えた。どうやら彼らはあまり仲が良くないらしい。そんな事を思っていると、イオンが未だにブウサギと戯れている少女をジッと見つめているのに気が付いた。



「イオン? どうしたんだよ」

「あの人、何か……………いや、訊いてみた方が早いですね」



と、勝手に自己完結をするとイオンはスタスタと少女に近付いていった。



「あの、少し良いですか」

「ん?」



少女はブウサギを解放し(その瞬間ブウサギとは思えぬ早さでアウグストはグレンの後ろに隠れた)イオンを見て、それから驚いたような声を上げた。



「あれーイオン君? 久し振りー」

「はい、ご無沙汰してます…………と、言う事はやはり貴女だったんですね、レジウィーダ」



どうやらイオンの知り合いだったらしい。意外過ぎると思うも、アニスの事を考えると実はそうでもないのかも知れない。



「レジウィーダって………」

「タリス?」



小さく呟くのが聞こえて声のした方を見ると、今度はタリスが驚いたような顔をしていた。



「レジウィーダって、貴女まさか……」



その言葉にレジウィーダと呼ばれた少女も彼女の存在に気付く。そして、



「お………























お嬢ーーーーーーーーーーーー!!」



と言って勢い良くタリスに抱き付いた。その瞬間にあの怪しいサングラスが取れた。割と普通の女の子だった(もっと変な顔した奴だと思っていたのは彼だけの秘密だ)



「もうホンマに久し振りやーんv でも髪の色が違ったからわからんかったよー」

「ああ、コレね。この間ちょっと事故ってねぇ。それよりも貴女は本当に相変わらずなのねぇ」



この癖も、と言って苦笑するもその顔はとても嬉しそうだった。しかしルークには何だかそれが無性に悔しかった。それでつい乱暴に二人に近付くと無理矢理引き剥がした。



「ルーク?」



いきなりの事にタリスは目を白黒させながらムスッとするルークの名前を呼ぶと、彼は同じ様にポカンとするレジウィーダを指差して言った。



「誰だよコイツ」

「あら、ごめんなさい。そうね、先にこの子を紹介するべきだったわね」



タリスはルークが拗ねていると言う事に気が付くと申し訳なさそうに謝りながらも小さく笑ってレジウィーダを紹介した。



「この子は私の幼馴染みの一人よ。ほら、この間イオン様が言っていたどこかに旅立ったと言う……」

「レジウィーダ・コルフェートでっす! 皆、よろしくね♪」


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