A requiem to give to you
- 戦場の再会(8/10) -


その様子にジェイドは溜め息を吐くと全員に休憩を促したのだった。



「それでは丁度良い機会ですし、貴方が誰なのかをお教え頂けないでしょうか?」



イオンを木陰に座らせ、他の皆も一息を吐いた所でジェイドはガイに向かってそう言った。それにガイも頷き、全員を見渡してから自己紹介をした。



「俺はガイ。ファブレ公爵家に仕える使用人だ。行方不明になったルーク達を探しにマルクトまで来てみれば……とんだ事に出会しちまってみたいでなぁ」



ははは、と笑ってはいるがルークとタリスは内心同じ事を考えていた。















絶対タルタロスに目が眩んで見に来たついでに見つけただろ、と。しかし二人がそんな事を考えているとはつゆ知らず、ジェイドはガイの素性を知ると成る程、と頷いた。



「キムラスカの方でしたか。私はマルクト帝国軍のジェイド・カーティス大佐です。ジェイドとお呼び下さい」



名乗りながらスッと出された手を握り返し、ガイも宜しくと挨拶を交わす。その次にイオン、ティアと来たのだが……



「………………」

「…………何?」



ガイはティアが差し出す手を取らず、困ったように頬を掻いていた。その様子にティアは訝しみ、ルークが思い出したように言った。



「ガイは女嫌いなんだよ」

「じゃなくて女性恐怖症、ね」



空かさずタリスが訂正を入れると、ティアは首を傾げた。



「? 私の事は女だと思わなくても良いわ」



いや、それは無理があるだろう。

皆の心が一つになった瞬間だった。



(ティアって、実は天然なのかしら?)



タリスは逃げ惑うガイにジリジリと攻め寄るティアの様子を見ながらそう思っていると、不意にルークから声を掛けられた。



「なぁ、タリス」

「何かしらルーク?」

「あのよ……」



と、どこか言い辛そうにする彼を不思議に思っていると、いつの間にか全員の目が自分に向いている事に気が付いた。



「何よ、皆して」

「いや、何て言うか……なぁ?」

「……………」

「タリス、貴方は六神将補佐のグレイとはお知り合いなのですか?」



言い辛そうにする皆を代表してジェイドが問うて来た内容にタリスは漸く合点がいったらしく「その事ねぇ」と言うと頷いた。



「彼とは幼馴染みなのよ」



そう言うとジェイドと既に知っているイオン以外の全員が驚愕した。



「じゃあ、やっぱりあの少年が君が前に言っていた捜してる仲間の一人で……」

「タリスの恋人……なのか?」

「そう言う事になるわねぇ」



ガイとルークの言葉に頷きながらそう言えば、更なる驚きの声が上がった。



「そ、そうだったのね……」

「あの、グレイと……」

「いやいやぁ、人は見かけにはよりませんねぇ」



ははは、と驚く二人とは別に含みのある言い方をするジェイドにタリスはニッコリと笑った。



「あら大佐さん。それはどう言う意味かしらねぇ?」

「さて、どう言う意味なんでしょうね〜?」



はははホホホと笑う二人の間に強烈なブリザードが舞う……ような気がした。そんな中、勇気ある行動に出たティアがどことなく悲しげな表情でタリスに言った。



「でも、良いの?」



その問いにタリスはジェイドとの寒い笑い合いを止めてティアを向いた。



「あのグレイと言う人があなたの恋人なら……このまま私達といれば、恐らく今後も敵として会う事になるわ」

「良いんじゃないかしら」


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