A requiem to give to you
- 戦場の再会(7/10) -


「よくやったわアリエッタ。けど、どうやってここに?」

「鑑橋に閉じ込められてたけど、グレイが扉を開けてくれたから、出られたの」

(アリエッタ……?)



リグレットとアリエッタの会話を聞いたタリスはグレイから視線を外し彼女を見た。



「そうだったの。さあ、彼らを拘束して……───」



と、リグレットがそう口にした時、空から何かが降ってきた。その何かはリグレットを弾き飛ばすと、兵士達によって拘束されていたイオンを小脇に抱えて救出し、ルークの前に立った。そして、



「ガイ様華麗に参上!」



と、白い歯を見せて爽やかに笑った。



「あらまぁ」

「ガイ!?」

「待たせたなルーク、タリス!」



予想外の登場人物に驚くルークとタリスにガイはイオンを降ろしながらそう言った。

その時、小さな悲鳴が上がった。



「きゃ、」

「アリエッタ!」



いつの間にか移動していたジェイドはアリエッタをライガから引き摺り下ろし取り押さえた。



「もう一度武器を捨てて貰いましょうか」

「くっ」



リグレットは苦虫を噛み殺したように顔を顰めると再び譜業銃を地面へと置き、外の兵士達もそれに倣った。



「武器を捨てたら大人しくタルタロスへと入って下さい」

「……イオン様」



ジェイドの腕の内にいるアリエッタは切なげにイオンを見ると、彼は苦しそうに首を横に振った。



「アリエッタ、言う事を聞いて下さい」

「…………はい」



目に涙を溜め、ジェイドから解放されたアリエッタはそのまま小さく返事をするとタルタロスへと消えていった。一同はそれを見届けると、一斉に残ったグレイを向いた。



「さて、最後は貴方の番です。武器を捨ててタルタロスへと入りなさい」

「ハッ、別にこの状況で仕掛けようなんて思わねーよ」



グレイはそう吐き捨てると一気に階段の上へと飛び乗った。そしてタリスを見て口を開いた。



「タリス、お前がそいつらといるってンならそれでも良いさ。お前が望んでそこにいたいと思っているなら、な」

「グレイ……」

「けどな、これだけは約束しろ」



絶対に、死ぬンじゃねーぞ。



「それだけは、絶対に許さねーからな」

「わかってるわよ」



と、タリスはふわりと笑った。それを見たグレイは一つ鼻を鳴らすとルーク達を見る事なく艦内へと入っていった。






*◇*◇*◇*◇*◇*◇*◇







ガイ、イオンとの合流を果たし何とか神託の盾から逃れたタリス達は一先ずセントビナーへと向かっていた。道中、タルタロスへの被害の規模を聞いたり、ティアがあのヴァン謡将の実妹と言う事実が発覚したり、アニスが戦艦から落ちてしまった話をしたりと色々な事があり、一行の空気は決して明るいとは言えなかった。



「……っ、はぁ」

「! 大丈夫ですか?」



暫し会話なく進んでいると、突然イオンが膝を着いた。それに隣を歩いていたタリスが心配の声を上げ、ルーク達も足を止めて二人の所へと集まった。



「おい、どうしたんだよイオン?」



心配そうにルークが訊ねると、イオンは苦しげに息をしながら謝った。



「すみません……少し、疲れてしまって」

「イオン様」



いつの間にかイオンの隣に来て彼の状態を診ていたジェイドが口を開く。



「ダアト式譜術を使いましたね」

「……はい。六神将に連れられた、その先で……頼まれたものですから」

「何してたんだよ、一体」



頼まれたって……と複雑そうにルークが問えば、彼は緩く首を振って「教団の機密事項です」とだけ言った。


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