A requiem to give to you
- 食糧の村(5/5) -



「もしかしてこの子、導師守護役じゃないかしら」

「ふぉん、ます……? なんだそれ??」

「導師守護役【フォンマスターガーディアン】。その名の通り、導師【フォンマスター】に最も近くにいてお護りする立派な神託の兵士よ」

「こんな子供が……!?」

「? ……あのぉ……」



ヒソヒソと端から見たら怪しい光景に少女は困ったように二人を見る。それにタリスは仕方がないと肩を竦めると少女に近付いて言った。



「貴女の捜している人かどうかは知らないけれど、先程村長の家に軍のお偉いさんと共にそんなような人がいたわよ」

「! 本当ですか!?」



タリスの言葉にパッと明るくなって聞き返す少女に頷くと、少女は直ぐ様お礼を言ってローズの家へと駆けて行った。



「寧ろ、物凄く自由奔放よねぇ」



少女の背を見送りながらタリスはそう呟く。それと同時にルークの舌を打つ音が聞こえた。



「クソッ、どうなってんだ」

「きっと、情報部の一部が誤報出してしまった可能性もあるわね……」

「まぁ、良いや。導師だろうとローレライ教団だろうと、こればっかりは任せてらんねぇ。明日、一番でその聖獸ってのが住んでる森へ行くからな!」



そう吐き捨てるように言うと、ルークは大股で宿屋へと歩いて行ってしまった。



「ちょっとルーク……もうっ! タリスも何か言ってあげて!」



そう言って憤慨するティアにタリスはまぁまぁと笑いながら先程のルークと同じように宥める。



「何だかんだで色々と見てみたいのよ。ここは彼の意志を……尊ちょ……う、し……?」













「タリス?」

「あら……なんか……」

(なに……? なんだか、眠……い)

「ち、ちょっとタリスっ。大丈夫?」



急に様子が変わったタリスにティアは怒りを仕舞い込み、心配した様子で彼女に声かけた。しかしタリスは眠そうに目を細め、そして……



「もう………だ、め……」



何故、と考える間もなく、突如としてタリスの意識は闇に閉ざされていった。












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