A requiem to give to you
- 置き去りの時間(9/11) -

それを見てエチルドは再び笑った。



「お前らっておもしれーな。んじゃ、さヒース。これはサービス兼、良いダチ紹介してもらった礼って事で受け取ってくれよ」

「おい、誰と誰が友達なんだよ」



ルークがそう訊くと、エチルドは機嫌良く彼の肩を組んだ。



「ダチのダチはまたトモダチってねィ! 野暮な事聞くんじゃねーやい。な、ルークさん♪」

「なっ、べ……別に俺はお前と友達になんて………つーか離れろぉぉぉっ!」

「きゃわ〜ん♪ ルーク様ったら照れてる。かーわいいv」

「はは、ホントにな」

「微笑ましい限りです」



顔を赤くしてじたばたともがくルークを見てアニスとガイ、イオンが笑う。少し離れた場所ではティアとヒースが何とも言えない表情で溜め息を吐いていた。



「友達と言うよりも……」

「悪友って感じだよな」

「つーか、寧ろヤンキーの集まりじゃね?」



二人とは違う、そんな第三者の声に振り向けばいつの間に来たのかグレイと、「貴方にだけは言われたくないでしょうけどねぇ」と笑うタリスがいた。



「………? グレイ、か。もう調子は大丈夫なのか?」



そう問えばグレイは微妙な顔をしつつもああ、と頷いた。



「それなりには、な。つか、今の間はなんだよ」

「いや、何かちょっと……………やっぱり何でもないよ」



少しの違和感を覚えただけだ、とは言わずにそう暈して言うと、グレイはさして気にした風もなくそうか、とだけ返した。そんな反応にも内心驚きが隠せなかったが、それを追求する間もなくルークを相手していたエチルドがヒースに突進してきたのだった。



「オーイ! 話の途中で消えるなよな!」

「別に消えた訳じゃないよ。あと、やっぱり薬類は有り難く頂くよ」

「おう、そうしとけそうしとけ! 礼はまたこっちの方に来た時にでもウチの店に寄ってくれりゃあ良いからさ!」



そう言って豪快に笑うエチルドに然り気無い商売魂を見た気がしたが、それには触れずにヒースはただ「そうさせてもらう」とだけ返した。



「お前ら、なんだか随分と仲良いな」



グレイが物珍しそうに言えば、エチルドは「おうよ!」と頷いた。



「俺とヒースは窮地を乗り越えた大、大親友なのさ!」

「初耳だ」



自信満々に言うエチルドにヒースがそう切り返せば、「オイイィッ!」と大袈裟なリアクションとツッコミが返ってくる。そんな彼に「冗談だよ」と言って続けた。



「大親友は兎も角、まぁ………出会ったのも縁だからな。友達くらいにはなってやるさ」

「スッゲー上から目線だな、お前」



フン、と鼻を鳴らして宣うヒースに今度はルークが突っ込む。グレイはそんな幼馴染みの顔を見て一瞬考え込むが、特に何かを言う事はなかった。






*◇*◇*◇*◇*◇*◇*◇







自分はいつ、"あの子"と知り合ったのか………いや、いつ、どこで出会ったかはわかる。何で"その時に"関わったのか、そして出会ったその時に自分が"あの子"と何をしていたのかわからない、思い出せないのだ。

そんな疑問を目の前の恋人に投げ掛ければ、彼女は言葉を無くしたかのように自分を見上げていた。



「今まで、何で疑問にすら思わなかったのか自分でもわかんねーけどよ。冷静になって考えてみりゃあ、妙な事しかねェ」



そう、それは宙と会った時の事だけとは限らない事だ。日谷 宙が関わってきた記憶の一部が所々と抜けているのだ。



「喧嘩をした、遊んだ、どこへ行った………大まかに何をしたのかは"理解"してる。けど、何でそうしたのか、具体的に何をしたのかは、わからねェ」



それに、



「毎年、四人で集まって公園の"あの樹"に花を添えていたよな。でもあれって結構前からだよな」



何の為に添えるのか、それがわからない程グレイは鈍くはない。しかし何故、添えるのか。誰の為に、そして………何故、必ず四人揃ってなのか。



「なぁ、涙子。オレ達って、














本当はいつから"四人"なんだ?」


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