A requiem to give to you- 闇ノ武者ノ棲ム城・後編(7/11) -
「ぐはっ!?」
「! レジウィーダ!!」
「っ!? ……!?」
いきなりの襲撃(大分語弊がある)にルークは諸に衝撃を受けて驚いていたが、タリスは覚えのある事に誰だかを認識すると直ぐに抱き返してきた。因みに無言になっているヒースは不意を突かれた為か若干混乱している様子だった。
「レジウィーダ! 無事だったのね……」
「うん、あたしは平気! 心配かけてごめんね」
そう言って謝りながら三人を離すと、タリスは「本当よ」とレジウィーダの両頬を摘んで左右に軽く引っ張った。
「どれだけ心配したと思ってるの。貴女に何かあったらって……もう」
本当に良かった、と手を離し、安堵の息を漏らしながら呟かれた言葉にレジウィーダは嬉しくなってもう一度彼女に抱き付いた。
「ありがと、タリス!」
えへへ、と嬉しさに笑っていると、不機嫌顔になったルークに頭を叩かれた。
「いてっ」
「いてっ、じゃねぇ」
「全くだよ………お前も」
ルークに同意するように頷いたヒースはレジウィーダを見、それからこちらに向かって歩いてきたグレイを見た。
「あまり心配させないでくれ。……それから、助けてくれてありがとう」
苦笑にも似た安堵の笑みを浮かべてお礼を言うヒース。それにグレイは少しだけ間を開けて小さく「おう」とだけ答えると、先程からレジウィーダを抱き締めたままこちらをじーっと見つめてくるタリスを向いた。あまりにも無言で見つめてくるので、どう切り出そうかと言い倦ねていると、彼女は優しく微笑み口を開いた。
「グレイ、
後で覚悟してなさい★」
その一言により一瞬にして場の気温が下がった気がした。
「……………」
何となく予想はしていたらしいが、それでも嫌な気しかしないグレイは顔を引き吊らせながら固まるしかなかった。不機嫌顔だったルークでさえも、同情の視線を送り出す始末だ。
しかしそんな時、今まで傍観に徹していたジェイドがパンパンと両手を叩いた。
「さて……話が纏まった所で、そろそろアレを何とかしませんか?」
そう言って彼が指さしたのは、すっかり存在を忘れ去られていた例の武者だった。
「って、何だありゃ!?」
気付いていなかったらしいルークが叫ぶと同時に起き上がった武者が動き出した。それは一瞬にしてルークの前に現れた。
「なっ!?」
「ルーク!!」
一番最初に動いたヒースは素早い動作でルークの前に滑り込み大剣を引き抜くと、振り下ろされた湾曲刀を受け止めた。
「ぐっ……重……っ」
「ヒース!!」
重い攻撃に耐えながらも押し返そうとするヒースにタリス達も直ぐに武器を構えて援護した。
「くらえっ!!」
「貫きなさい!」
ルークが武者の背後から斬り掛かり、タリスも弓を引き矢を放つ。しかしそれらは手応えはあるも、武者には全く効いてはいなかった。
「何!?」
「効かない!?」
二人が驚いている間にも武者は構え、それに何が来るかわかったレジウィーダとグレイは叫ぶ暇もなく駆け出した。
「させるかボケェッ!!」
レジウィーダは渾身の回し蹴りを繰り出し、先程自分が吹き飛ばされた回転斬りを阻止した。その時、武者の両腕に握られる剣を見た。
(これは……違う)
「これでも喰らいな!!」
グレイは数本のクナイを取り出すと武者に向かって一気に投げた。
「って、当たってねぇじゃん!」
と、ルークが突っ込むのも無理はなく、投げたクナイは武者の身体ギリギリをすり抜け一発も当たる事はなかったのだ。しかし、何故か投げた当の本人はニヤリと悪戯が成功したかのように笑っていた。
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