A requiem to give to you
- 緑の少年たち(5/8) -


そこでレジウィーダはまだ辺りに残る濃い第三音素の気配に気が付いた。



(これだ!!)



振り下ろされた剣を再び避けて相手との距離を広めに取るとそのまま意識を音素に集中させ、術を放つ準備をした。正直、最初から色のついたエネルギーでの術はまだ使った事はないが、最初から属性が付いているか後に付けるかの違いだけなので大した事はないと思う。



「小さな種【フォース】逹よ、今一度芽吹け!!」












エナジー・コントロール!!



杖を掲げ、そう叫ぶと同時に辺りを漂っていた第三音素は一つに集まり、マナへと変わった。



『!!?』



その急激なエネルギーの変化に気付いた数名の者逹の目が見開かれた。構わずレジウィーダはその力を取り込んで術式を展開し、相手へと放った。



(ん? この感じ……)



いつもと違う、でも何だか覚えのある感覚に思わずシンクを見た。そして納得した。



「あ、そうか。あの時のアレって………」

「オイコラ馬鹿女!!」



突然の幼馴染みの怒声に思考を中断させると、何故か目の前にはグレイがいた。



「あり? 何でアンタそこにいんの?」



そう素直に訊くとはぁ?と言い、そのまま顔を思いっきり顰めた。



「ふざけてンじゃねェ!! いい加減アレをどうにかしろ!!」



そう言って彼が指差した先では………

















レジウィーダの放った術が大暴走していた。



「うわぁああっ!?」

「ちょ、飛ぶっ! 飛ぶっ!」

「あぁ! 買ったばかりのアリエッタちゃんフィギュアがーーー!!」

「イヤーンv」←※男



一部かなりどうでも良い悲鳴が混じっていたが、暴走している風の力はまるで竜の逆鱗の如く大荒れの渦を作り、周りを巻き込んで大災害と化している。



「何じゃありゃ……」

「それはこっちのセリフだ! 〜〜何でも良いからとにかく止めろ!!」



もしくは弱めろ、と怒鳴るグレイにレジウィーダは術を止めようと試みるも、ふとそれをやめると歯切れの悪い返事をした。



「うーん、どうにも……


















無理っぽいッス」


















………………。


















「馬鹿ヤロォオオォオォォオッ!!」



グレイのこの叫びさえも、竜巻の轟音に呑み込まれていった。






*◇*◇*◇*◇*◇*◇*◇







結局、その日の実力テストは中止となり、後日改めて残りの試合が行われた。後でグレイに結果を訊いてみたが、彼曰く「楽勝」だったらしい。

あとは来月末の配属を待つだけ……なのだが、



「退屈………退屈すぎるーー!!」



あの時の事件以来、レジウィーダは自宅(自室?)謹慎処分を食らっていた。部屋から殆ど出ることができず、ここ数日は実に暇を持て余していた。


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