A requiem to give to you
- 成せばなる!(10/10) -



「なんだ、もう出来るようになったのかよ」



そう言って現れたのはグレイだった。



「あ、怪人イジワルうぉるふ!」

「誰がだ! つーか何か名前グレードアップしてるし!」

「細かい事は気にしない☆」

「テメェは……」



グレイは更に何かを言おうとしたが、ふと思い留まると腕に着けていた古風なブレスレットを二つの内一つを外し、レジウィーダに投げて寄越した。



「何これ?」

「これはだn「あー、プレゼント? 悪いけどいらn」ンな訳ねーだろ。あと話は最後まで聞きやがれ」



レジウィーダの言葉を一蹴するとグレイは腕を組んで説明し始めた。



「そいつは配属試験を受ける為の……言わば証明書だ」

「証明書……何でそれをアンタが持ってくるんだよ」

「ヴァンからまとめて渡されたんだよ。お前にも渡して置くように言われてたンだが、すっかり忘れてた」

「忘れるなよ」

「いくら才色兼備なオレ様だって人間だ。うっかりミスの一つや二つあるンだよ」



全く持っていけしゃあしゃあとした男である。



「当日、試験参加者は全員装備必須だとよ。着けてない者はその場で強制退場……ったく、面倒臭ェったらねーぜ」



お前もそう思うだろ?
アリエッタは参加しないもん。
あれ、お前も新人じゃねーの?
アリエッタはイオン様の導師守護役、です。
……ヘェ。



「……よし。じゃあ、オレ帰るわ」

「あ、おい待「あばよ!」



慌てて引き止めるも、グレイはさっさと踵を返すと颯爽と走り去ってしまった。



「あばよってアンタ……それ死語やろ」



レジウィーダの虚しいツッコミも当の本人の耳に届く事はなかった。

しかしこれで術の扱い方はわかった。あとは試験当日までに更に磨きをかけるだけだ。



「レジウィーダ、頑張って!」

「ありがとう、アリエッタ。これで一発ガツーンと導師を見返してやるぞー!」



オーッ、と腕を振り上げるレジウィーダにアリエッタはよくわかってはいないながらも真似をしてくれた。



(……でも、あんなにあの人が制御は無理だと言っていたのに………こんなにあっさりと上手くいって良いのかな?)



ふと微かな不安が過ぎるも、直ぐに首を振って忘れる事にした。













しかし後日この不安が的中するなど、この時はまだ知る由もなかった。













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