A requiem to give to you
- 成せばなる!(7/10) -



「あぁあああもうっ、わかるかっちゅーの!!」

「レジウィーダ、大丈夫。アリエッタも最初は出来なかったから……その内出来るようになるよ!」



その内では間に合わないから困っているのだが……。



「うぅ……こう言うのは元々専門外なんだよー!!」



と、頭を掻き毟って地団駄を踏むレジウィーダにアリエッタはオロオロしながらもフォローを入れた。



「成せばなる、です!」

「慰めてくれてありがとう。でもどうにもならないんだってば!」

「、……えと」



うーん、と悩みながらも必死に言葉を探すアリエッタを見てハッとしたレジウィーダは、優しく彼女の頭を撫でた。



「落ち着こう。取り合えず落ち着こうぜあたし」



自分に言い聞かせるようにそう呟くと、少しずつ頭が冷めてきた。



「レジウィーダ……」

「うん、大丈夫。怒鳴ったりしてごめん」



本当に申し訳なさそうに謝ると、アリエッタは首を振って「大丈夫」と小さく笑った。



「よし! じゃあ気を取り直して頑張るか!」

「うん!」



グッと両手を握り締めてアリエッタと二人で気合を入れ合うと、レジウィーダは早速音素を集めた。



「うーん、ここまでは簡単なんだよなー」



問題はこの後だ。このまま術をやっても音素が弾けるだけで何も起きないし、マナに変えてから術にすると暴発する。



「ん? てかフォンスロットのようなモノって一体何から出来てるんだ?」

「音素じゃないの?」

「それだと"様なモノ"じゃなくてそのままだと思うんだよね」



そもそもそのフォンスロットのようなモノ自体がよくわからないのだが。



「もしかしてマナとか……いや、でもそれはないか……うーん」



再び頭を抱え出すと、アリエッタが提案した。



「取り合えず一度それをマナに変えてみるのはどう?」



未だ掌に集まったままの音素の光を示され、レジウィーダはどうしようか悩んだ末に頷いた。



「わかった………―――エナジーコントロール!」



グッと力を込めるとそれは瞬く間にマナへと変化した。……傍目から見たら全くわからないが。しかし……



「「え!?」」



数秒は保ったものの、マナは直ぐに弾け音素へと還った。



「え、あれ? なに今の……てか、音素増えてなかった?」

「アリエッタも今、6つ感じた」



何故、と二人で疑問符を浮かべていると、突然激しい騒音と共に何かが落ちてきた。



「あだーーーーーー!?」














ガシャーンッ














「ギャーッ!? わ、私のカイザーディスト2がああああっ!!」



ここ数週間と姿を見せなかったディストだった。



「うぅ……私のカイザーディスト2〜〜〜〜〜」



三十過ぎた男がおいおいと泣きじゃくる姿は何とも言えない光景だった。しかしだからといってこのまま放置するわけにもいかず、取り敢えず話しかけてみる事にした。



「だ、大丈夫か?」

「レジウィーダ……これが大丈夫に見えますか!?」



鼻を啜りながら指差された先には何とも無残な姿となったカイザーディスト2があった。



「ちょっと見えないかなー……」

「見えない、です」



正直苦笑するしかなかった。



「突然操作不能になったと思ったら、まるで引き寄せられるように引っ張られたんですよ!」

「それって……」



よくよく見るとカイザーディスト2には焼け焦げたような跡や切り傷のような物が付いていたり、微かだが濡れているようだった。



「さっきのアレ……だよな。やっぱり」

「です」



訂正。もう笑うしかない。


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