A requiem to give to you
- 月が微笑み、焔は夢見る(8/8) -



「まぁ……それもそうよねぇ」

「どうせ直ぐには帰れなさそうだしな」



フィーナは「そう言う事です」と頷き、二人の手を引いて立ち上がった。



「さぁ、そろそろ夜も明けてきました事ですし、早速旦那様の所へ行きましょう」



ガイもそれで良いですね、と確認を取ると、彼はやれやれと言った感じで肩を竦めた。



「ここまで話を進めたんじゃ、もう断れないだろう? 一緒に取り次ぎに行くさ」



そう言った彼には先程までの警戒心や拒否感は感じられなかった。ヒース達は再び顔を見合わせると、小さく嬉しそうな表情を浮かべ、ガイ達を見て頭を下げた。



「「よろしくお願いします!」」



そしてフィーナは二人を連れて部屋を後にし、最後にガイはルークにあとで着替えを持ってくると言って三人を追っていった。



「……………」



残されたルークは皆を見送ると、途端にやる事がなくなり憂鬱になった。窓の外は既に月は見えなくなり、ほんのりと暁の光が空を染める。メイドや騎士達ならばそろそろ起きて騒がしく動き始める時間だろう。この時間になってはもう寝るには遅いし、剣の稽古をするにはまだ早すぎる。

どうしようかと部屋を見渡していると、先程ヒースが読んでいたと言う己の日記が目についた。



「あ、そうだ」



ルークはペンを手に取り、ランプを点けて日記を開いた。どうせメイドやガイが来るまで時間がある。それまで先程までの出来事を記しておこう、とルークはペンを走らせた。






*◇*◇*◇*◇*◇*◇*◇







追記。

夜中、寝ていたら変な奴が現れた。名前はヒースって言うらしい(何故か疑問系だったけど)。ヒースはこことは違う異世界から来たと言っていた。勿論、俺は最初は信じていなかったけれど、後から俺の上に落ちてきたタリスを見たからには信じざるを得なくなった。












でもすっげーよな! こことは違う世界なんてあるんだぜ!?

ヒース達の世界って、どんな所なんだろう。今度訊いてみよう。二人は何だかんだで邸に残ってくれるみたいな話になったし、これからが楽しみだ。早くヴァン師匠にもこの事を話したいぜ!












Chapter4・・・>> Chapter5
/ →
<< Back
- ナノ -