A requiem to give to you
- 月が微笑み、焔は夢見る(7/8) -



「な、何を言ってるんだ!」

「えー。俺は全然良いぜ」

「ルーク!」



あっさりと了承するルークにガイは何故だと言う。



「私も良いと思いますよ」

「君まで……」

「だって、面白いではありませんか」



花が飛ぶような笑顔で言われた言葉にガイは脱力する。そこにヒース達は更に頼み込んだ。



「お願いします。僕達には行く所がないし、頼れるのは貴方達だけなんです」

「公爵様への申請は自分達でするわ。だからどうにか公爵様への取り次ぎを許可してもらえないかしら?」

「ガイ、俺からも頼むよ!」



それでもまだ渋るガイにルークは続けて言う。



「それに俺、同じ年頃の友達って言ったらお前やフィーナ、ナタリアぐらいしかいねぇし。どうせ邸から出られねぇんならもっと色んな奴といたいんだよ!」

「ルーク……。でも、いくら旦那様に取り次いだとしても、どうやってここに来た経緯とかを説明するんだ? まさかお前の部屋に侵入して来ましたなんて言えないだろ」

「あ…………」



ルークは言葉に詰まった。同じくヒースとタリスもその事は頭に入れてなかったらしく、苦虫を噛み潰したような表情で悩み出した。



「あの……それなら良い考えがあります」



フィーナのその一言で全員がえっ、と一斉に彼女を見た。



「預言に詠まれていたと言えば、よろしいのではありませんか? 『ND2015。月が微笑む夜、"聖なる焔の光"の前に4つの光が現れる。彼らは然る後、世界に光差す未来を創り上げるだろう』……みたいな感じで私が言えば、旦那様達は間違いなく受け入れて下さいますわ。多分」

「間違いなくなのに多分かよ! てか、えらくリアルな預言だな」

「よく……わからないけど、確かにすごく現実味のある理由だって事はわかったよ」

「あえて"4つ"にしたって事は、はぐれてしまった二人を探す理由にも繋がるしねぇ」

「だけどフィーナ。それがもし嘘だとバレたら、君の身が危ないんじゃないか?」



それぞれの感想を述べる中、ガイは否定はしないものの、どこか不安そうにフィーナに言った。しかしフィーナな小さく笑って「大丈夫です」とウインクした。



「私はこれでも元・預言者です。それに、私の祖先はあの始祖ユリア。何も問題はありません。















貴方達がそれに見合う結果を出せれば、ね」



そう言ってフィーナはヒース達を見た。



「預言《スコア》はこの星の未来が詠まれたもの。人はその預言を信じ、日々の生活を送っています。本来ならない預言を造るのは、ある意味その人達を裏切る行為と言えるでしょう」

「世界規模で預言とそれを最初に詠んだ始祖ユリアを信仰してるんだ。バレたら当事者の君達を含め、荷担した俺達の首は飛ぶと考えた方が良い」



フィーナに続けて言ったガイの言葉に二人は息を呑んだ。



「……だからこの世界の人達を裏切らない為にも、私達はその偽預言を本当にする努力をしなければならない訳ね」



タリスが簡単にまとめて言うと、フィーナは「その通りです」と頷いた。ルークは面倒臭そうにベッドへ倒れ込んだ。



「あー……。何だかすっげー事が大きくなってきたな」

「人が異世界から現れた時点で大問題だっつーの」



ガイが苦笑しながらツッコミを入れた。



「だけど"世界に光差す未来を創り上げる"って、具体的には何をすれば良いんだろう…?」

「そうよねぇ」



悩む二人にフィーナはそっと近寄り、二人の手を取った。



「それは















これからゆっくりと考えていけば良いと思います」



まだ時間はありますからね、と付け加えるとヒースとタリスは顔を見合わせた。


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