A requiem to give to you
- The white departure(11/11) -



「もし、」



ん?、とトゥナロがこちらを振り向く気配を感じた。



「もし、あたしの記憶が戻って、その"約束"ってのを思い出したら………あなたのコトもわかる?」

「……………多分、な」



ほんの僅かな間の後、そう言ってトゥナロは踵を返して船室へと入っていった。どうやら、旅に付いて来るつもりらしい。



(まぁ、良いけど。……それより)



一つだけ、彼……グレイには嘘をついてしまった。確かに既に自分は綺麗な手はしていない。だが、だからと言って強いと言う訳ではないのだ。








心も、純粋な力も。特に力は恐らく、普通に戦ったらまず彼には勝てないだろう。鍛錬をしていたとは言え、何よりも実践不足なのだから。正直、今回のように不意打ちすら難しかったかも知れない。

しかしそれでも今回彼を出し抜けたのには訳がある。



「……………」



レジウィーダは拳顎を外し、薄地のグローブを外に曝した。そこには緋色に輝く宝石が填め込まれていた。自分達は生命(いのち)の石や守り石などと呼ぶソレは、装備者の潜在能力を最大限まで引き上げると言った物だ。言うならば響律符の超強化版みたいな感じだ。

これは初めて行った異世界で貰った物だが、何故かグレイ……陸也の携帯に付いていた。彼は彼で別色の物を持っている筈なのに……。もしかしたら彼が持っていた事に何か訳があるのかも知れないが、すっかり返しそびれてしまいそのままずっと持っていたのだ。



「次に会った時にでも返せばいっか」



って、元々あたしのなんだけどねー。そう言って自分の言葉に苦笑を漏らすと、小さくなりつつあるダアト港を見詰めた。






回り始めた運命の歯車。転がり始めた奇跡の石。

そして、















動き始めた物語と言う名の自鳴琴。

幾つもの出逢いと別れ、"約束"の交錯の中に紡ぎ出される他にはない、たった一つの物語。

次の舞台は………ND2018。星の記憶を巡る四つの光と、聖なる焔の旅が今、始まろうといていた……─────












To be continued...
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