A requiem to give to you
- たゆたう心(4/7) -


そして……



「ア………ア………………





















I love youーーーーーーーーーv」



ガシッ、と突然アリエッタの両手を自分のそれで包み込むと、愛の告白をし出した。



「「……………………」」



ポロリ、とシンクの手からお菓子が零れ落ち、当のアリエッタ自身は目を白黒させてクリフを見つめ返している。レジウィーダに至っては………目を見開いたまま固まっていた。

しかしクリフはそんな彼らを気にも止めずに続けた。



「お嬢さんはアリエッタと言うのですね。私はクリフ、しがない旅人譜術士です。因みに年は今年で13です」

「うわ、ガキじゃん」

「シンク、一応君と同い年だよ」



思わず本音が漏れるシンクにレジウィーダは突っ込んだ。



「て言うか、アンタいつの間にあんなの拾ってきたわけ?」

「拾ってきたってより……何か着いてきちゃった的な?」



そう言うとシンクからは何とも言えない溜め息が漏れた。



「アンタって本当に………」

「レジウィーダ」



シンクの言葉を遮るようにアリエッタの呼ぶ声が被さった。



「どうしたー?」

「"あいらぶゆー"って、何?」



素朴過ぎる質問にレジウィーダは返答に困った。



「……あーえー……と、シンク!」

「はぁ!? ………あー……あ、愛の告は……く、みたいな?」

「ぶはっ」



シンクの照れながらの言い方にキたのか、レジウィーダは鼻を抑えて悶絶し出した。それに気付いたクリフは未だに続けていたアリエッタへの愛の呟き(?)を止めた。



「あ、ちょっと君。何レジウィーダの病気を発症させてるんだい?」

「は? 何それボクのせいな訳?」

「確かにアリエッタの可愛さで既に限界までキテたかも知れないけど、トドメを刺したのは紛れもない君だよシンク"君"」

「シンク君とかマジキモいから止めてくれない? クリフ"君"」

「「…………………」」



お互いの言葉に鳥肌を立てて二人は固まった。どちらも顔半分が見えないのにしっかりと嫌悪しているのを感じ取れる。



「レジウィーダ、二人とも動かなくなっちゃった」

「うん、何かなかなかシュールな光景だな。てか、皆可愛すぎっ」



ギュっとアリエッタを抱き締めながら言うと、先に我に返ったクリフが再び二人に近付いてきた。



「あ、レジウィーダ」

「なあに?」

「私、アリエッタと結婚したいです。だから彼女から離れてくれない?」

「何かめっちゃ話し飛んだな!?」



君達今が初対面だよね、と問うと「前世ではラブラブだったんだよ」と、何を根拠に言ってるのかわからない自信たっぷりの言葉が返ってきた。



「それよりクリフ、君一体何しに来たんだよ。バカがどうのとか言ってなかったっけ?」



いい加減本題に戻そうとクリフが来た時の事を思い出しながら訊くと、彼は思い出したように手を叩いた。



「あ、そうでした」

「そうでしたって、完全に忘れてたんかい」

「まぁ、人には誰しもそう言った事の一つや二つあるよ」

「流石のあたしもそこまで熱狂的に愛は呟けない、かな」

「「「嘘つけ(です)」」」



三つの声が重なる。



「いやマジだからね。ホントに無理だから!」

「ハイハイ。………で、悪いんだけど」



必死に言うレジウィーダを適当流すと、クリフは途端に真面目な顔になってシンクとアリエッタを振り返った。


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