A requiem to give to you
- 伸ばされた手(5/7) -



「なら覚えとけよ。世の中こう言う危ないオッサンについて行ったら最後、二度とシャバには出られないぜ」

「そこ! 誰が危ないオッサンですか!!」

「てかシャバって………」



陸也はディストをスルーし、何か言いたそうな少年に「まぁ、黙って聞け」と言って腕を組んだ。



「最近のオッサンはロリコンだけでなくショタコンもいるって話だ。そんな奴に捕まってみろ。きっと毎晩のように嫌な吐息を漏らしながらあーんな事やこーんな事をするンだぜ?」

「あんな事…………?」

「ちょっ………待ちなさい! 私にそんな趣味はありません!!」

「ンでもって最終的には普通じゃつまらんとか言って自分好みに調……────」

「スーパーディストウルトラビューティービーム!!」
















ズガーンッ















「……っと、危ねェな」

「危ないのは貴方の思考回路です!!」



ディストは懐から取り出したレーザー銃を撃ち、それを難なくかわした陸也に再び銃口を向けてそう怒鳴った。それに陸也は心外だと言わんばかりに片眉を上げた。



「ああ? オレは世の中にはこんな事考えてる奴もいるって事を言ってンだ。文句あるか」

「大有りですよ! 大体、それは貴方の事じゃないんですか!?」

「ンだとゴラッ! このオレ様がツルペタ幼女や女顔しただけの野郎に起つような奴だと思ってンのかあァ!?」

「そ、それは人それぞれでしょうに……」

「テメェが言ったンだろうが!!」

「でも最初に言ったのは貴方ですよ……」



ディストは憔悴した様子で言う。少年の方はもう最初の時点で既に話について来れてなく、頭を抱えていた。それを見たディストはレーザー銃をしまい、溜め息を吐いた。



「それに、こんな子供の前でする話じゃないでしょう」

「なに主悪の根元が尤もらしい事を抜かしてやがる」

「勝手に人を変態やら悪人やらにしないで下さい! ……それよりも!!」



これ以上陸也が何かを言い出す前にディストは続けてそう言って話を無理矢理戻した。



「あの人の居場所を知っているのなら教えて下さい!!」

「ハッ、ヤなこった」



即答だった。当然、ディストは納得が行く筈もなく「何故ですか!?」と訊いた。



「無理だからに決まってンだろ」

「だから何故!?」

「オレ自身、今どこにいるのかがわかンねーから」















………………。
















確かに陸也の言う事は尤もであったが、そんな事を知る筈もないディストはポカンと大口を開けて数秒停止した。



「……こ、ここがどこだかわからないんですか?」

「だからそうだって言ってンだろうが」

「じゃあ、貴方は一体どうやってここに来たんです? いえ、そもそも貴方はどこから……────」



来たのですか、と言うディストの言葉は突如外から聞こえてきた轟音の呑まれて消えた。



「何だ?」

「今のはザレッホ火山から……まさか」



ディストはハッと何かに気付き、指を一発鳴らした。すると出口の方から無人の椅子が飛んできた。素早くそれに乗り込むと、どこからか小さな物体を取りだした。



「何してンだ?」



その様子を物珍しそうに見ていた陸也が問い掛けると、ディストは二人の前に手に持っている物体を投げ落とした。落ちた物体は地面に着く直前に形を変え、手足を生やして巨大化した。…………が、



「センス悪っ」



丸い球体に手足があり、所々に何だかよくわからない突起物が飛び出ている。オマケにその物体の天辺には大きなプロペラが付いている為、どこか迫力が足りないように思えた。



「ド●えもんの成り損ないか何かか?」

「一々五月蝿いですよ!!」



ディストがピシャリと一喝し、そのまま咳払いをするといきなり高笑いをし出した。
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