A requiem to give to you
- キッカケの話(4/6) -



【グレイ】

「陸也は? アンタのキャラも見せてよ」

「え、メンドイ」



スッパリと切り捨ててくる。しかしそんな事でめげる宙ではなかった。



「良いじゃんかー。後でわたしもキャラ作る時の参考にしたいんだよー」



こう言ったの初めてなんだから頼むー、と言えば至極面倒臭いと言う態度を隠そうとはしないものの、陸也は渋々とキャラクターのステータス画面を開いて見せた。



「ほらよ」



名前:D49hLFo9 Lv.8

ジョブ:忍者

ステータス:××××××
      ××××××
      ××××××
      ××××××

装備:○○○○、□□□□

所属ギルド:なし



「んんん? これ、名前なんて書いてあるんだ?」



意味のわからない文字の羅列に思わず訊くと、陸也は「知らね」と返した。



「最初に選んだ時からこの名前だったんだよ。面倒臭かったからそのまま使ってる」

「ええー……」



良いのか、それで。余りにも適当過ぎるそれに言葉に困っていると、話を聞いていた聖が割り込んで来た。



「わかり辛いし呼びにくい。却下だ」

「は? 別に知らねェ奴と通話するわけでもないんだし、良いってコレで」



怠そうに陸也はそう言うが、聖は納得がいかなかったらしく更に返した。



「チャットする時に一々コピペするのも大変なんだよ。どうせ拘りがないなら、もっと短くシンプルになんか付けとけ」

「だる……」



そう言いながらも自身の部屋を軽く見渡すと、陸也は何が思いついたのかそれを名前変更の枠に打ち込んだ。



「グレイ? 悪くないじゃん」



新しく書き変わった名前に宙がそう言うと、聖も漸く納得したように頷いた。

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