A requiem to give to you
- キッカケの話(3/6) -



【ヒース】

学校で一度解散し、それから必要な物を持って陸也の家に再集合した宙達は、聖のパソコンの前を全員で覗き込んでいる。



「これが僕の作ったキャラだよ」



名前:ヒース Lv.10

ジョブ:ブレイド

ステータス:××××××
      ××××××
      ××××××
      ××××××

装備:○○○○、△△△△

所属ギルド:なし



「はえー……すっご!」

「グラフィックとかもやっぱり綺麗ね」



初めて目の当たりにする技術の凄さに宙と涙子は目を輝かせながらパソコン画面に釘付けになっていた。



「え、これって全部聖ちゃんが作ったの?」

「作ったんじゃなくて、ゲーム内に用意されたテンプレートを元に髪とか身長とかって言った細かい所を弄って自分だけのキャラクターに仕上げたんだよ。それで、このキャラクターが、ゲーム内で操作する自分自身になるんだ」



丁寧な説明に二人は「なるほどー」と揃って頷いた。



「ん? でもこのヒースってのは?」



キャラクターの名前が友人の物と違う事に違和感を覚えた宙が質問をする。



「仮にも不特定多数との交流もあるゲームだからね。あまり本名は使わないんだよ」

「そうなんだ」

「そう。それに、折角好きなようにキャラクターを作ったんだから、気に入った名前を付けるのもキャラメイクの醍醐味だよ」

「じゃあ、このヒースと言うのは、あなたが気に入って付けてるって事なのねぇ」



感慨深そうな涙子の言葉に、聖は頷いた。



「どう? これだけでも楽しそうだと思わない?」

「そうねぇ。これで理想のキャラクターを作ってみるのもワクワクするわ」



早速やってみようかしら、と持ってきたノートパソコンを開き、既に購入済みのゲームを起動し始める涙子。そんな彼女を横目に、宙は既にゲームを遊び始めていた陸也の方を見に行った。

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