A requiem to give to you- It is vague and is opaque(5/5) -
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「……………」
残されたレジウィーダは先行くルークを追わずに立ち尽くす。自分の言動で彼を傷付けてしまった事実に動けなかったのだ。そして直ぐに後悔した。
「どうして……」
どうして彼にあんな事を言ったのだろうか。ずっと黙っていれば良かった事なのに。でもどうしてか、あの抱き締め合ってある二人と、二人を見ているルークの表情を見て、気が付けば口を開いていたのだ。
恐らく、ルークはタリスの事が好きだ。自分でもそれに気付きかけているのだろう。でなければあんな表情は出来ないのだから。そんな彼を見て、何となくシンパシーを感じてしまったのは確かだった。しかし何故、そう感じたのかはレジウィーダ自身にもわからなかった。
そっと、草木を挟んだ向こう側の二人を見た。二人は相変わらず視線こそ合わせてはいないものの、互いにくっ付いたまま相手の鼓動を、あるいは体温を感じ合っているように見えた。レジウィーダはタリスが好きなルークにシンパシーを感じたと言う、その意味を考え………そして突如としてハッとする。
(………いやいやいやいや、それは有り得んっしょ)
ある結論に至り掛けて慌てて頭を振る。いくらなんでもそれは……ない。全く気にならないと言えば、そう言う訳でもないが。でもそれはルークと同じ理由ではない筈だ。
(きっと、もっと何か別にあるんだよ………きっと)
そう、己に言い聞かせるように今までの考えを捨て、両手で頬を叩いた。
「それよりも、ルークに謝んなきゃだね」
それにそろそろ戻らなければともう一度二人を見れば、あちらももう直ぐで動き出しそうだった。二人よりも先に皆の元に戻らなければ、二人に不審がられてしまう。まさか覗いてましたなんてわかれば、グレイはともかくタリスからのお仕置き基制裁が下されるのは目に見えている。それを考えるだけで………背筋が冷えた。思わず想像してしまい、ぶるりと肩を震わせ、レジウィーダは急いで元来た道を戻り始めた。
END……?