A requiem to give to you
- 切望(3/3) -



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僕は臆病だ、と常々思う。こう言った目に遭うのは割と日常茶飯事だったりする。いつもはちょっとゴミを投げられたり、物を隠されたりする程度なのだが、流石に今回はヤバかった。

下校しようと靴を履いて、外に出た矢先だった。ドン、と音がして、僕は思い切り階段から突き落とされた。いきなりの事に当然受け身なんてとれる筈なんてないし、何よりも身体が重く感じるせいで上手く動かない。結果、僕は顔面から地面と挨拶をする羽目になった。いつもなら放っておくのだけれど、こればかりはこのままにしておけない。……と、言っても親に言う訳にもいかず、考えた末に陸也のところに行く事となった。

取り敢えずボロボロになった服を脱ぎ、体を洗った。落ちた時に擦れた傷が痛んだが、それでも汚れたままは嫌だったのでそのまま洗って湯船に浸かる。そこで思った。

僕はなんて臆病なんだろう、と。

陸也が常日頃に僕を守ろうとしている事は知っていた。そしてこう言った事になって僕がやってきても、黙って受け入れてくれる。普段はとても面倒臭がりで、減らず口や文句ばかり言ってはいるが、滅多な事ではその本心を割ろうとはしない。それを知ってるのに、僕は彼に甘え続けている。そしてやはりあいつは、それすらも受け止めてしまう。本当は僕にかまけてるほど、自分だって余裕がない癖に。

もっと、強くなりたい。本当は僕も、あいつや他の幼馴染み達を守りたいと思う。だけど、僕の周りにいる人達はみんな強いんだ。僕なんか必要がないくらいに。






……なら僕は何が出来る?

いくら鍛えて力がついても、何かが変わる訳じゃない。心が弱いから。相手に怯える姿は見せてないものの、何も言わずにそのままにしているのでは一緒だ。

強くなりたい。もっと、誰かに頼るより、頼られるくらいに強い心を持ちたい。そして……見返してやりたいんだ。僕は弱くない。僕は……こんなにも大切なモノをたくさん持ってるんだぞって、あいつらにいってやるんだ。だから……












これ以上、他の誰かが傷付く前に強くなるんだ……───!!












END
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