A requiem to give to you- チェンジ!チェンジ!(3/3) -
「お、やーっと来たな」
遅ーい、と言って宙もメイド軍団♂のところから戻ってきた……のだが、
「あら、似合うじゃない」
いつの間にかメイド(と言うか、只のウエイトレス?)の格好になっていた。
「待て、なんで宙は普通なんだ」
「宙は宣伝に行ってもらうからよ」
と、聖の問いに涙子が答える。
「宣伝に行かせるなら宙を置いて他にはいないと思うの。それで最初に普通の喫茶店として宣伝して、入ってみたら……アラ不思議☆な展開に持ってこうと言う事になって、急遽メイドになって貰う事にしたのよ」
アラ不思議☆じゃねぇ
聖が心の中で突っ込む横でそれに抗議をしたのは陸也だった。
「待てよ、ならオレも執事のが絶対ェ良いだろ!」
「え、ダメ」
間髪入れずに宙が却下する。
「なんでだよ!?」
「だって、アンタが着てくれないと聖ちゃんが着ないって言うんだもん」
「はあ?」
なんだそりゃ、と陸也は聖を見ると、彼は無言で頷いた。
「意味わかンねェ!!」
「大丈夫、アンタ顔だけは良いからそれ程酷い事にはならないよ。……まぁ、あたしの好みじゃないけどな」
「全っぜん大丈夫じゃねーよ! つか、テメェの好みなんざ聞いてねェー!!」
「細かい事は気にしないの! ……さあ、あと着替えてないのは二人だけなんだから、ちゃっちゃと着替えてね!」
ほら、連れてって、と宙がメイド♂二人に言うと、仕切りに叫び暴れる陸也と最早何も言わない聖を引き擦り、あの軍団の中へと入っていった。
「あらまぁ、」
時々に上がる悲鳴や怒声、他の男子等の笑い声が上がるのを聞きながら涙子は面白そうにその様子を見ていた。
「ぬっふっふ、今年は良い文化祭になりそうだね〜」
「あら、用意周到ねぇ」
宙の妖しげな笑い声に振り返れば、その手にはしっかりとカメラが握られていた。
「だって、こんなに堂々と皆のコスプレ姿を見られるんだよ。幸せじゃん。…あ〜、早く他の女子の執事さん達も来ないかなぁ」
「そうねぇ。皆揃って、写真を撮ったら卒アルにでも載せましょうか、大々的に」
「そう言えば涙子って、卒アル係だっけ?」
宙が問えば、涙子は頷いた。それに宙は目を輝かせるとガッシリと彼女の両手を掴んだ。
「是非ともお願いします♪」
「ホホ、任せて☆」
こうしてここに一つの陰謀(?)が企画され、後に卒アルを見た約数名とその他大多数の盛大な鬼ごっこが始まるのだった。
END(殴)