血が彩る服
死が踊る記憶


act4...魔女狩り



 どうしよう。どうしよう。折角、あのひとがくれた服なのに、血の臭いがとれない。似合うね、って褒めてくれた服なのに、破れてしまっている。
 怒るかしら。怒られてしまうかしら。いいえ、あのひとは優しいもの。怪我した私は心配しても、服を心配することなんてないわ。

優しいひと。

愛しいひと。

 そういえば、どこにいったのかしら。周りを見ても、知らない人ばかり。あの人の姿は見えない。
 結婚式は、まだ済んでいない筈なのに。どこにいったのかしら。
 道に迷ったのかしら。仕方のない人ね。迎えに行きましょうか。

ああでも、この洋服は血にまみれている。

 こんな乱れた服で、あの人に会えはしない。あの人は、乱れた服は気にはしないんでしょう。ただ私が来たことに、喜ぶんでしょう。
 でもね、女は何時だって、愛しい人の前では綺麗でいたいの。
 お気に入りの洋服でも、汚れていたら意味がないわ。

ああでも、どうして、血が?

 どうして血が?あの人は何処に?どうしてどうしてどうしてどうして。
 思い出せない。なんで服が汚れて、血がついて。優しいあの人、どこにいって?
 結婚式もまだなのに。ああ、本当にまだだったかしら。私は白い花嫁衣装を、着たことがあるのに。あの人も、似合わない正装で笑っていたのに!
 何処に行ったの。あの笑顔。どうして私を知らない人が囲んでいるの。どうして、この服に

血が



「いやああああアアアああ!!」


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