「女……彼は浮気をしていたのよ。よりによって私と同じ店でバイトをしていた……私が最も嫌っていた女。その事に気付いた時、私は彼の携帯からその女の全てを削除した。アドレスから写真まで全て……これで良かったと思っていたのよ。ところがある日彼がいきなり私に電話をしてきたの。私は彼から電話があったという事実に酔いしれていて深く考えずに電話に出たわ…。でも電話に出たのは彼じゃなくて例の……あの女よ!!」


彼女は……優さんは怒りのあまり目を見開いてわなわなと震えだした。
彼女は暫く間をおいてまた話し出す。


「そうよ……あの女は彼の携帯で私の携帯に電話をしたのよ…。許せない、彼の携帯を使うなんて……彼と偽って私に電話をするなんて……でももっと許せないのが次の言葉。『あんた、彼に付きまとってるんでしょう?ストーカーみたいな事しないで。気持ち悪いのよ』付きまとう!?この私が!?あの女、人の男を取っておいて良くもあんな言葉を……許せない……あの女もそうだけど私を裏切った彼も……許さない許さない許さない許さない!!」


彼女の話はここで終わった。彼女は怒りや嫉妬など様々な負の感情で震えている。

暫く間をおいて那奈登がかすかに息を吐いた。
隣にいるあたしが気付くか気付かないかくらい小さく。


「それで?貴女の叶えたい望みは何ですか?」


あたしはその場で微動だにせず言った。
彼女はその言葉を聞いた途端待ってましたとばかりに目を輝かせた。

でもその輝きは子供が放つような純粋な物ではなく、空腹の獣が獲物を見つけたような輝きだ。


「もちろん……あの女に最高の屈辱を。彼は私の側に……仕事にも行かせない……家族にも会わせない……一生を私の側で……それが私の願い。」

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