「とにかく今日はめでたい日らしいんだよねー。詳しい話は後で。食え、手羽先共!」 「誰が手羽先だー!」 「エ、エンジェ君……だよね?ちくわ、食べる?」 「良いの?……あ、ありがとう。」 那奈登の言葉に律儀にツッコミを入れるディセル、気弱同士気が合うのかちくわを分け合う登奈とエンジェ。 「ぜーんぶ食えよ?俺と登奈はあちこちのスーパー行って賞味期限が今日までの集めたんだから。」 「言われなくても平らげてやるよ!性悪になんか一本も渡さねぇ!」 「な、那奈登…。悪魔に性悪呼ばわりされるなんて…。」 「ねぇ…。ショーミキゲンってなぁに?」 「え、えっと……食べられる期間、かな。」 純粋な天使に大人の事情を説明するのは難しいよね。 『賞味期限が近い物は2割とか半額とかで安い』なんて大人の事情を伝えるのは心苦しいよね。 「ディセルく〜ん♪これ食べない?」 「うわっ、女みてぇな声出してんじゃねーよ!」 夢中でちくわに食らい付くディセルに擦り寄る那奈登。その手には皿に並べられたちくわが乗っている。 態度が女の子verになっているぞ、那奈登よ。 「食べないのぉ?」 「食う!」 気持ち悪いだの言いながらもちくわは食べたいらしい。 「あ〜んってしてあげよっか?」 「いらねーよ!男にされたって嬉しかねぇ!」 「登奈ちゃーん、お呼びよ〜♪」 「違ーう!!」 悪魔をも遊ぶ那奈登。悪魔vs悪魔みたいな弟。 「じょーだん♪ほら、やるよ。」 「……っ、ドゥワアアアアアア!!」 「あはははっ!!刻んだキムチをコチュジャンで和えてんの、みっちり詰めてっからな〜。」 さすがは辛党。『容赦』の二文字が存在しないようだ。 床を叩きながらもがき苦しむディセルが哀れとしか言い様が無い。
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