※1st以前


 ティエリア、ティエリア。
 水槽の光だけがほのかに照らす暗い部屋の中で、わたしは確かめるように何度も呟く。「ティエリア」。そして、わたしがその名前を呼ぶ度に、(そんな筈はないのだけれど)まるで返事をするみたいに、水槽の中で眠る、組み上がったばかりの素体が小さく動く気がした。
 ハッピーバースデー、ティエリア。これが今からあなたの名前。ねえ、もしかして気に入ってくれたの? そうだったら嬉しいな。もうすぐ出してあげられるから、そうしたら、もっとたくさん呼んであげるよ。ああでも、その前に性格タイプを設定しなきゃね。きちんとヴェーダの言うことを聞くように、少しばかり生真面目すぎるくらいの方がいいかもしれない。それから、強くて優しくて、少しだけ泣き虫な子にしよう。大切な何かを守れるように、大切なものの為に涙を流せるように。うん、きっとそれがいい。

「ふふ。ねえ、ティエリア。あなたの目に映る世界は、何色?」



あの日まで世界の美しさを信じていた
title:選択式御題

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