たーくんと俺がこうして一緒に暮らすようになったのは、つい一か月前のこと。
俺が両親と喧嘩して家出したのがきっかけだった。

『だったら、俺の家にくる?』

なりゆきで合い席になったカフェで、初対面の俺の話を聞いた、たーくんは言った。
俺はビックリして首を横に振った。
こうして話を聞いてもらっただけでも申し訳ないのにと。

でも、その時のたーくんは悲しそうな笑い方をしていて…

迂闊にも俺は、俺がこの人を守ってあげないと、と自惚れたことを思った。


どう見ても騙されやすそうで頭の緩い人にしか見えなった。
もしも俺が「お金がいるんだ」とでも言えば即効そこの銀行でお金をおろしてきそうな感じ。

ピュアな馬鹿大人。

俺はそう思って彼の家にお邪魔することにしたんだが…
たーくんのピュアさと馬鹿さを俺はすぐに目のあたりにすることになった。

彼女と同棲していたんだ。
なのに、俺なんてわけのわからない家出少年を家に連れ帰ったんだ。
信じられないと思った。
信じられなくて言葉にならなかった。
両親以外の男女の修羅場なんて初めて見た。
そして片方が明らかに喧嘩の糸を掴んでいないのが悲惨だった。

『だって、帰れる家がないんだ、可哀相だろう』

たーくんはそう言った。間違っていないかもしれないけど、同棲している彼氏が、見ず知らずの少年を家に連れて帰ってこられた彼女の方が可哀相だ。

だけど、たーくんが彼女よりも俺を優先して話合いをしているのが嬉しくて。






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