「じゃあ、今日は記念日やね」

「そ、そうだな、うん」

「恋人記念日やね」

「お、おう」

「カレンダーに書きこんでもええかな?」

「恥ずいから、やめろ」

「じゃあ、書くね!」

「だから、やめろって」

「えーやだやだ。こればっかりは譲れへんな」

「も、もう……しかたないな」

「えへへ」

バランスの悪いハートマークを描いて、たーくんは笑う。子どもみたいな笑い方をする。しかたないので、俺も笑い返しておいた。

「な、な、アキラ。一カ月後は、一カ月記念日やね。あ、俺とアキラが初めて出会った日も記念日やね。他にもさ、一杯あるねんな、俺たちの記念日。なんや、そう思うと、幸せやな。こんなに幸せでええんかな?」

そわそわと、たーくんは部屋の中をくるくると歩く。
まるで、たーくんの時間が進みだしたみたいに。
俺はおかしくなって、微笑んでしまう。




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