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「アキラ、どないしても、キスしたいなぁ」
たーくんは伏せ目がちに言う。それが可愛くて仕方なかった。
だなんて、思う余裕もなく、俺は頑張って首を縦に振る。
どうしよう、こんなに恥ずかしくて、緊張するようなことだなんて思わなかった。キスなんて、唇合わせるだけだと思っていた。
「……アキラ、嫌やったらええんやで」
「?」
急にたーくんは何を言うんだろうと思ったら、俺の頬にはぽろぽろと涙が。
「違う」
「?」
「嫌、とか、じゃ…なくて」
どうしようもなく、幸せで。
どうしたら、いいのか、わからなくて。
たどたどしくて、たーくん呆れてるかな?
そう思ったのだと伝えると、たーくんはくすくす笑った。
腹の底から、本当に、笑った。
「笑うとか」
「ごめん。なんや、興奮してきて」
「え?」
「いろいろ、俺が教えたるからな?」
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