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「……そうだね。頼らなくても、アキラくんなら、見つけられるよね」
「ちょ、何、放せ!」
いきなり手首を掴まれて、俺はビビる。
「そんなに怯えなくても。俺、たーくんの好きな子に手を出すほど、落ちぶれてはいないつもりだけど?」
「……」
「でもさ、アキラくん。甘えたなのは治そう。いくら、あいつが君に返事を求めなかったとしても、ちゃんと答えてあげるべきだったよ。わかっていたでしょう。たーくんの好意がどういうものか」
「…………」
「へらへらしているからって、傷つかない人間なんていないんだよ」
「なんで、松田さんが」
「え、俺か? 俺はね、たーくんのことすっごく好きだから」
「…え?」
「人としてだよ。焦ったでしょ? 今」
「…………」
松田さんは、泣き出しそうな顔をして笑った。
「どっちかというと、アキラくんみたいに小さくて弱い子がタイプだよ」
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