=アキラside=


「ほんま、どないしたんやろう」

本日三度目の着信にたーくんは困った顔をしながら、リビングを後にした。
俺は夜ごはんを食べる手をとめて、じっとたーくんの帰りを待った。

「…………」

五分待ってもたーくんは帰ってこなかった。俺はじっと座っていられなくなって、たーくんの声がする方へと歩いていく。段々と聞こえてくる声に、段々と不安になってくる。
俺の知らないたーくんがそこにいる。
眉間にしわを寄せて、必死にいつも通りの声を出そうとしている。

「ですから、俺は別に。あ、はい。ええ、まぁ…そうですね」

「!」

しまった。勢いに任せて部屋の中を覗きこんでしまったら、たーくんと目が合った。やばい。盗み見していたことがバレた。
どうしよう、どうしよう。

「アキラ、ごめんなぁ。もう少し電話かかりそうやから、ご飯先に食べてて」

「……お、おう」

にっこりと笑って、たーくんは俺に、手を振る。
さっきまでの顔、何処にやったの?

もしかして、俺って、たーくんに気を使わせている?
俺がへちょこいから、たーくん優しい顔しか見せないの?
たーくんが俺に怒ったところ、見たことが、ない。
それって……?



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