６
＝松田太一郎side＝
ほらすぐに強がる。傷つかない予防線。
平気だなんて嘘だよな。
本当はどうしようもなく不安なくせに。
「松田さん、どうされたんですか？」
昼休み、悩めるたーくんにちょっかいを出して上機嫌な俺に佐恵子は不信そうな顔をする。
「佐恵子の元カレを苛めて遊んできた」
「……元カレだなんて言うのやめてくれません？ 今はただの仕事仲間ですし、浮ついた感じがして、とても不愉快です」
「そうだったな、ごめんごめん」
「ところで、何を悩んでいたんですか？」
「あ、たーくんのこと？ 気になるの？」
「いえ、別に」
「そう？ でも、君にしか、話せる人いないし、聞いてくれるかな？」
「どうしてもとおっしゃるなら」
「ああ、どうしてもだ。どうしても、君に話したい」
「場所変えましょうか？」
「そうだな、屋上なんてどう？」
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