「そりゃあ、あたり前だろ。付き合っているならともかく、そうじゃないんだから、家族が一番に決まっているじゃん。それくらいの歳の子は」

「じゃあ、親御さんが迎えに来たら、さようなら、なんや」

それって寂しいな。

「俺、つい、うっかり、お互い一緒にいたいから、一緒におるんやと思うてた」

「たーくんにしたら、恐ろしいほど、しんみりしているな」

「そうですかね?」

「ああ、今までのお前って、私情が全く感じられなかった。好きだと言った相手に対しても嫌いだと言った相手に対しても何も求めたりしてなかったし。すべてをそのまま飲みこんでいた」

「今も、そうじゃないんですか?」

「いや。今はそうするように、している。そう言った方が正しい。たーくんは、可哀相な奴やな」

「…………」

「意味がわからないって顔しているけど、直にじわじわとわかってくると思う。だから、俺の口から言えるのは、これくらいかな。何にも興味を持てない奴が、初めて興味を持つということは大変なことなんだよ」

じゃあ、そういうことだから。と先輩はにっこり笑って去って行った。
俺には先輩が言いたかったことの意味が全く分からない。わからないけど、すごく不安になってしもうた。俺、俺は。
いつかくる別れの日に、ちゃんとアキラを見送ることができるんやろうか?




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